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時代劇 8
・・・・
西軍兵達の遺体は、弥兵衛宅の裏庭の一角に
村人の協力を得て埋められた。
「寺があるとはいえ、隣村まで
持ってくわけにいかねえからな」
墓を前に数人の村人と、三左衛門と次郎太と
房太郎と兼吉がいて、三左衛門がつぶやいた。更に、
「・・・・それにしてもだ」
三左衛門は機嫌が悪い。
「なんで撃ったんだ」
と、次郎太と房太郎をにらんだ。
「俺らが敵部隊を撃って返り討ちに遭ったら、
護衛の役目はどうすんだ。村まで巻き添えにして
責任負えんのか」
「ん〜・・・・撃ったより斬った方が多いんですけど・・・・」
次郎太がボソッと答えた。
「そういうことじゃねえよ!」
房太郎は三左衛門をなだめるように、
「兵達は家々を廻って金品を強要して、
抵抗する者に暴行し、
無理やり物を持ち出そうとしました。
女性が連れ去られそうになったり、
怪我を負った住人もあります。
放っておけば死者が出たかもしれません。
いずれも我らが急襲して直ちに斬り捨てたために
無事で済みました。妥当な判断だったと思います」
「馬鹿野郎! 先を考えろ、部隊全滅させたところで、
気づいた敵が報復に来るかもしれねえじゃねえか」
苛立つ三左衛門に次郎太はにんまりした顔で、
「気づく? ここで何かあったとでも?」
「・・・・おめぇ、何言ってんだ、敵は各部隊を
どこへやってどこを通るか分かってるだろう。
前の村で部隊を見て次の村で見てないとなりゃあ、
この村で何かあったと丸分かりじゃねえか。
村々に確かめりゃ簡単に判っちまうぞ。しかも、
生かしときゃ敵の内情も探れたかもしれねえのに、
士官まで簡単に撃ちやがって、
わかんねえままじゃねえか!」
「ちっちゃい部隊の偉いさんでは、
知ってることは限られてるでしょ。
こっちは迎え撃っただけだでね、
連中も運が無かったんでしょ」
「戦は続いてんだぞ、
敵は殺せばいいってもんじゃねえんだよ」
次郎太は諭すように、
「戦なんだから、死ぬかもしれねえのは当然でしょう。
西軍になっといて会津側に助けろなんて図々しいでしょ」
「この野郎、勝手ばかりやりやがって!」
と、三左衛門は次郎太の頬を殴りつけた。
衝撃で頭が揺らいだ次郎太も、間髪を入れぬ勢いで、
同じく三左衛門に殴り返した。
「やめろ、次郎太!」
房太郎が次郎太を、兼吉が三左衛門を制止した。
三左衛門は怒りが収まらない。
「次郎太、てめえ、俺らがどれほど苦労して来たか
知らねえわけじゃねえだろ、何人もの命預かってんだぞ!」
「・・・・だから何だぃ、何されても抵抗するなってか。
そのまま預かった命無くしてもいいのかよ。
そんなに不安ならてめぇだけ帰っちまえ!」
次郎太も珍しく語気強く言い返した。
「この野郎!」
と三左衛門はまた次郎太につかみかかろうとし、
次郎太が三左衛門の頭を鷲掴みにしたところ、
「いい加減にしなよ、おとうちゃん!」
と、さいが怒鳴りつけた。
「みんな命懸けなんだよ、戦の最中なんだよ、
隠れて済めばいいけど、無理なら仕方ないでしょう」
三左衛門と次郎太が離れ、房太郎と兼吉、
次郎太がさいに会釈した。
「おめぇまでなんだ、仕方ねえじゃねえよ、
次来るとなりゃ大部隊で来るに決まってんだろ」
「おとうちゃん、ここは会津領内だよ。
村がどうあれ、敵が来たら追い返すなり
戦うのは当然でしょう。敵部隊が来た、
会津側が迎え撃った、敵は全滅した、
それでいいでしょ」
「だから、次が心配だと・・・・」
「状況次第で村も対応を変えるでしょう。
頭下げるのも、逆らうのも、村の勝手です。
西軍にとって敵は会津軍であって村人ではないし、
領内で会津軍と交戦したって
何も不思議じゃないでしょう」
「そうは言ってもな、俺らは・・・・」
納得しない三左衛門に房太郎が口を挟んだ。
「俺らは、殿の奥方様と御母堂様の護衛で
会津へ来た。そして今後も続ける。これが第一。
そして、協力して下さっている
この村を守るのが第二。
共に守るために時に頭を下げ、時に戦う。
そのために死ぬなら寿命、
天命だと覚悟を決めています。な、次郎太」
「ははぁ」
次郎太が大げさに頭を下げた。
兼吉が吹いた。
「覚悟は当然だが、簡単に寿命が来たら
護衛が成り立たねえと言ってんだよ」
三左衛門は苛立ちが収まらない。
房太郎は落ち着いて、
「今回は次郎太の判断でちょっとした戦になりました。
最初は心配だったけど、結果は成功だったと思います」
「成功だったら何してもいいのか。勝手なことされて
奥方様にまで何かあったら、これまでの努力が水の泡だぞ」
次郎太は相変わらずにんまりと笑顔で諭すように、
「だから、何かあったら困るから無理したんだよ」
「無理に無理すんなってんだよ!」
苛立つ三左衛門にさいも苛立ちを見せて、
「も〜、くどい、おとうちゃんくどい、
護衛というのは、いざとなれば戦うんでしょ?
その覚悟でこれまで来たんでしょ?
もういい加減覚悟決めてよ、頭(かしら)でしょ」
「・・・・」
三左衛門は言葉に詰まった。
次郎太は感嘆したようにさいを見つめて、
「兄貴・・・・」
さいは、
「バカ」
と目を逸らした。
兼吉は笑って、
「ここら辺は熊も出るらしいし、
猟師だけでなく俺らも銃があると助かるよね。
まさか敵が銃と弾くれるとはねぇ」
次郎太もまたとぼけた調子で、
「うん、もしかしたらあいつら、
銃も使える熊だったかもな」
と、兼吉と笑った。
三左衛門は爪を噛んでいる。

・・・・
村人達が帰り、三左衛門とさいも引き上げ、
次郎太と房太郎と兼吉が墓の前に残った。
「頭(かしら)が殴りかかったのはたまげたが、
おめえがすぐ殴り返したのもたまげたよ」
と、苦笑気味の房太郎に、次郎太は澄ました調子で、
「やられたらやり返さないとね」
房太郎は吹き出して、
「シラっとこいてんじゃねえよ・・・・
しかし頭もだいぶ余裕ねえな・・・・」
兼吉が、
「そりゃあ殿から直々に頼まれた身だからねえ。
気ぃ張ってんだろう。それなのに隊長役の頭は
そっちのけで勝手にドンパチ始めたら、そら怒るよ」
次郎太は嫌味っぽく、
「怒られるのイヤで無抵抗だったらどうなっていたやら、
おっかなくて考えたくないネ」
と身震いして見せた。
房太郎がボソッと、
「熟慮慎重は果敢にあらず、だな。
頭からすれば次郎太は危なっかしい・・・・」
「・・・・おめえもなかなかの活躍だったぞ」
「俺は・・・・おめえが追い詰めたから仕方なくだよ」
「ふっ、そうでもなさそうだったがな・・・・
俺以上が銀十郎や富五郎さん達だろ。
俺からすりゃ頭も不甲斐なくて危なっかしいよ」
房太郎が苦笑し、
「水と油だな・・・・西軍の奴ら、また来るかな」
次郎太が、
「西軍に聞かないとなあ」
兼吉が笑った。
次郎太は遠くを見て、
「ところで、さっき廻った家なんだが・・・・
詫びに行こうか・・・・」
「は? これから?」
房太郎は意外そうな顔を見せる。
「外ならともかく、うちん中で斬ったのは
まずかったかなーってさ・・・・」
「なんだよ今更、しょうがねえよ、外でやれたか?」
「・・・・無理」
「だろ? 住人が殺されるのを待ってるわけに
行かねぇだろ。住人を守ろうと敵兵を斬った。
俺は納得するよ。文句ある恩知らずは
直に俺らんとこ文句言いに来りゃいい」
「・・・・房太、行こう」
「なんだよ、気にし過ぎだよ」
「頭が気にしたのはそれじゃねえかな」
「それって?」
「俺らがここにいられるのは村の連中が
納得してるからだろ」
「そりゃそうだよ。わかってるよ」
「俺らは会津藩の仲介でこの村の居候になった。
会津ん中の村とはいえ、戦況は良くないらしいし、
いつまで村が藩に義理立てするか当てになんねえ。
結局は藩より村を守るのが一番になる。
俺らが邪魔になったら権田村の二の舞になる」
「権田村・・・・」



「殿が権田村を隠棲の地と決めて間もなく、
約二千人の賊徒が襲って来た。
その中には、賊に脅されて仕方なく
与した村人も少なくなかった」
「ああ、もちろん知ってるよ。俺らも現場にいたし」
「先を心配して西軍に通じる者が一人でもいたら、
今まで通りにも行かなくなる」
「・・・・つまり、裏切り者によって、
俺らが不意打ちを喰らいかねない、と」
兼吉が言葉を継いだ。
「うん、それで頭としては、
村の裏切りを心配して、出来るだけ
村での騒動は避けたいわけだ」
房太郎は苦笑して、
「何を今更・・・・じゃあ今日やったことは
間違ったと認めるんか?」
「しょうがねえと思ってるよ。だが、
それはこっちの言い分だ。村の連中が全員同意
するとは限らねえ。ましてや建前と本音は違うもんだろ」
兼吉が納得したように、
「うん、十人十色、百人百様って云うしね」
「簡単に誤解するしされるし、善意が悪意に
取られることもある。意見も何もなかなか伝わらない。
殿が殺されたのも幕府が終わったのも、
戦が続いてんのも、結局は互いの無知と誤解だよな」
兼吉が受けて、
「・・・・そういえば、さっき次郎太は幕府方って言ったけど、
幕府はもう無いよな」
「・・・・そうだっけ?」
次郎太は呆気にとられた顔で、房太郎も、
「あ・・・・気づかなかった」
兼吉は笑って、
「次郎太が幕府方なのは当然だよ。俺らもそうだもんな」
房太郎は少し不機嫌そうに、
「・・・・で、なんだっけ、間違えば村八分とか・・・・?
どうすりゃいいんだよ」
次郎太は静かに、
「村にも人にも裏表や本音と建前がある。
貧乏人は金持ちになりてぇ。金が無ぇなら欲しがる」
「金を渡すのか?」
「ソコソコの額を渡す。問題は渡し方だ。
乞食に恵む調子では反発されるだろ。
渡して怒られて嫌われたら元も子もねぇ。
あくまでも献上、納めて頂くってな調子でないとな。
それで納得してもらう」
「でも金は頭に渡したんだろ?」
「うん、これから話つける」
「おい、大丈夫かよ」
「おめえも共犯だぞ、一緒に来いよ」
房太郎は渋い顔になったが兼吉は、
「行ってらっしゃい」
と笑って軽く手を振った。

・・・・
夕方には村も落ち着きを取り戻し、
さいが弥兵衛宅の離れに泊まっている
三左衛門の様子を見に来た。
三左衛門は囲炉裏の間で煙管をふかしている。
「おとうちゃん、まだ怒ってんの?」
「怒ってないさ。おめえは奥方様んとこ戻ってろ」
「おとうちゃんは隊長だから心配は当然
だけどさ、苛々してると体に悪いよ」
権田村での賊徒襲来の際は、三左衛門は
忠実な村役人として忠順側に協力して
賊徒の動向を探り、村人の避難に奔走した。
小栗が夫人一行の避難を名主の佐藤藤七ではなく
三左衛門に頼んだのは、その実直さと働きぶりを
見込んだから、というのは一行の誰もが
認めるところで、三左衛門自身もまた自負があった。
しかし、権田村から苦難の逃避行を経て、
会津の山奥に身を潜ませたまではいいが、
西軍と東北諸藩の戦は終わっていないどころか
戦火は会津領内に及んでいる。
今後どうなるかはわからない。
「・・・・引き受けた以上はやり通す。裏切りは無しだ」
三左衛門がつぶやいた。
「え?」
「あぁ、いや・・・・おめえだから言おうか・・・・
前に権田村の騒動があったろ」
「うん、あんときも撃ち合いあったね」
「あんときの村々の反応はまったく
危ないものだった」
「危ない?」
「殿の御領地のはずの村の一部の奴は、
賊の脅しに屈して人んちに放火したり、
殿や御家来衆に襲いかかった。はっきり敵に回った」
「うん・・・・」
「敵になった者に遠慮するわけに行かねえ。
あんときも次郎太や房太郎とか、
御家来衆が村の助太刀を得て撃退したが、
敵になった村人にも死人が出た」
「・・・・そうだったね」
「騒動に決着が着いて、村々の代表が殿に詫びに来た。
ものに依っちゃ死罪も当然だが、殿は全部不問に付して
死傷者や家を焼かれた家族に見舞金を出した。
で、皆で協力して、後々はここから太政大臣を
出そうと仰った。それで仮住まいの寺を出るべく
御自宅と学校を作ろうと始めた・・・・いや、
村の要請から用水路が先だったかな」
「うん、覚えてるよ。隣村にも頼まれたんでしょ」
「俺らは今、会津藩の世話でここに移って、
村の協力で暮らしてる。
あくまでも村の善意で居候だ」
「はい」
「いかに奥方様がおられようとも、
もはや殿のような立場はない、
俺らは吹けば飛ぶような身だ。
そんな俺らが村に迷惑かけてまで居座ったら、
やがて村から愛想尽かされて追われるかもしんねえ」
「・・・・心配なの?」
「逃げられりゃいいが、当てが無ぇわ」
「村の人に裏切られるのが怖いの?」
「俺一人や次郎太や房太だけならともかく、
奥方様も御母堂様も鉞子(よきこ)様もおられる。
簡単に切った張ったと暴れるわけに行かねえんだよ」
「・・・・銀十郎達についてどう思ってんの?」
「・・・・会津が危ねえことは初日で思い知らされてるからな。
次郎太が言ってたように、こっちは立場違うから、
藩士と同じってわけにはいかねえ。とはいえ、
藩に恩や義理があると言われりゃあその通りだからな。
殿の仇でもある西軍と戦うのも当然だよ。
言い分が別れんのも無理ねえさ」
「あちらを立てればこちらが立たず、ね」
「・・・・それにしても、あまりにも若死だったな。
銀十郎も、おめえの亭主もだ」
「・・・・納得してると言えば嘘になるけど、
納得するしかないと思ってるよ」
「・・・・やっぱり、死んで欲しくはねえや・・・・」
と、三左衛門は泣き顔になった。
「やめてよ、こっちまで泣きそうになるでしょ」
さいは苦笑した。
「もうあんなイザコザは勘弁して欲しいよ」
「・・・・またぁ、もう蒸し返さないでよ。
またジロさんと喧嘩する気?」
「いや、もういいんだ。実はその次郎太と
房太郎がな、あの後来たんだよ」
「?」
「敵兵を斬ったことに後悔はねぇが、
うちん中で斬ったのは迷惑だったから詫びに行く、
ついては幾らか渡して欲しいってさ」
「へ〜」
「人は金だけでは動かねえ。だが、
義理やら大義だけではもっと動かねえ。
みんな自分が可愛いからな。で、弥兵衛の旦那含めて
八軒だっけな、お清め代として一分金や二分金にして
八両持たせた」
「一軒一両!? 大金だね。でも、なんでわざわざ
一分金や二分金で一両分なの?」
「ああ、俺も聴いたらな、一両小判なんか渡したところで、
この山奥の貧しい村の農民が使おうもんなら相手が怪しむ、
場合によっちゃ役人が来てああだこうだ揉め事に
なりかねねえ、だから遣いやすく細かく渡せば
もっと喜べるだろうってさ。次郎太の野郎、
妙に細かいとこがあるが、殿の影響でも受けたのかな」
「へ〜、そういやそうだね」
「本(もと)を正しゃ次郎太が持って来た殿の金だし、
御母堂様と奥方様にも許可を頂いてる。
渡してもバチは当たるめぇ」
「あー、さっき奥方様になんか謝ってると思ったら、
そのことだったのか」
「いや、騒動自体が御迷惑だったろうさ。
ま、そういうこった。さ、この話はこれでおしめぇだ。
さっさと帰んな」
「はいはい、では引き上げますね」
と、さいが外へ出かけるが、
「あ、おとうちゃん」
「ん?」
「煙管は程々にしなよ。体に悪そうだよ」
「うるせぇ」
三左衛門は苦笑した。

・・・・
後日、弥兵衛宅の庭で、さいと鉞子(よきこ)が
次郎太、房太郎、兼吉に銃の扱いを教わっていた。
鉞子(よきこ)はまだ齢十五で小柄でもあり、
長く重い銃の扱いに手間取っていたが、
「剣術は大変だけど、銃くらい扱えますよ」
と屈託無く答えていた。
様子を見ていた三左衛門が心配そうに、
「おい、さい、あまり無理すんなよ、
鉞子様も銃は奴らに任せて・・・・」
と言いかけるが鉞子は、
「頭はおなごを誤解してます。
もっと信用して任せるようにして下さい」
と、ツンと答えた。
三左衛門は苦笑して、
(さすが又一様の許嫁(いいなづけ)、
いや、小栗家直系というわけか・・・・)
小栗忠順の母・邦子は小栗忠清の娘で、
男子がなかったので、後に忠順の父となる忠高を
婿として迎えた。その後弟の数馬が生まれたので、
数馬を旗本の日下(くさか)家へ養子に出した。
そこで生まれたのが鉞子で、六歳のときに
忠順は再び小栗家へ養女として迎え、
同じく旗本駒井家から忠道を婿に迎えて
養嗣子とし、小栗家で代々使われていたという
又一を名乗らせた。
常に先陣を切って活躍する功績を讃えて
「又も一番」の意味で家康から命名されたもので、
鉞子はその小栗家の血を受け継ぐ一人だった。

三左衛門は縁側に腰を下ろして煙管をふかし、
弥兵衛と共に、さいや鉞子達の銃の練習をながめていた。
弥兵衛が微笑んで、
「気丈な娘さん方ですな」
「あまり無理されても困るんですがねぇ」
三左衛門は困ったように煙を吐いた。
さいが縁側にやってくると、
「おとうちゃん、また不満ですか?」
からかい気味に三左衛門の横に座った。
「おとうちゃんは自分の役目で夢中だろうけどさ、
やたら守るだの何だの言われると、
奥方様方だってつらいんだよ」
「なんで。必要だから言ってんじゃねえか」
「女はか弱くて守ってやらなきゃいけない、
なんて考えてんなら、それは侮辱だからね」
「は? 守るのがなんで侮辱なんだよ」
「危ない時に守ってもらえるのはありがたいけど、
奥方様だって子供じゃないし、お前達は弱いから
守ってやってんだって言ってるようなもんでしょ」
「そんな恩着せがましいこと言うわけねえだろ」
「言うわけなくてもそう思えるの」
「こっちは殿直々に頼まれてんだで。
のんきにしてられるかぃ。鉞子様にだって
無茶させるわけにいかねえよ」
「奥方様も御母堂様も鉞子様も、無茶する
覚悟でいるんだよ。そもそも今までが
無茶じゃなかったとでも思ってんの?」
「・・・・そりゃまあそうだが・・・・」
「もっと信じてやんなきゃ」
「信じてるから無理もして来たし、
こっちは逃げも隠れもしねえよ・・・・まぁ、
今ぁみんなで隠れてるがな・・・・最初っから
そのつもりで来てんのに、わかんねえのか」
「そうじゃなくてさ、女だから弱いだのダメだの
決めないで欲しいんだよ、鉞子様が銃を覚えちゃ
いけないとか、そういう決まりにしないでっての」
「いや、それは鉞子様は小栗家の・・・・」
「世が世ならお姫様だよね。みんなに大事にされて
おしとやかに育つのが本来だろうけど、
そんな状況じゃないし、本人もわかってるんだから」
「そうは言ったって、俺らとは立場が・・・・」
「考えてもみなよ、おとうちゃんはあたしより
背が低いし、鉞子様とたいして背丈変わってないんだよ。
相撲取ったら負けるかもよ。なんなら、
あたしと相撲取ってみる?」
さいは立ち上がって手を広げて見せた。
「ふん、何を馬鹿なことを・・・・」
「あの方達は当事者だよ。いざとなったら
自分で自分にけじめをつけるの。自分で決断して
行動するんだよ。戦うこともありなんだよ。
武士の妻なんだから」
「・・・・じゃあどうすりゃいいんだよ」
「だから、あたし達が銃覚えても文句言わないこと、
いざ戦うことになったら参加させること」
「おまえなぁ・・・・」
「鉞子様もあたしも、いざとなったら戦うって
決めてんだから、邪魔しないでよ。わかった?」
「・・・・うーん」
さいの気迫に三左衛門は返す言葉が見つからない。
さいは再び鉞子達に加わった。
弥兵衛は目を細めて、
「三左衛門さんはいい娘をお持ちになったのう」
と笑った。
と、いきなり銃声が鳴り響いた。
驚いた三左衛門は煙管を吹いた。
撃った鉞子は、
「きゃ〜おもしろ〜い」
と明るく笑った。
「おい! さい! 次郎太! このやろー、
山中に響いたら怪しまれるだろうが」
三左衛門は焦るが、
「猟の練習でしょー」
と、さいは手を振って、
「いくよ〜」
構えていた銃で同じく発砲。
また大きな音が辺りに鳴り響いた。
近所の老婆がやって来て、
「また西軍が来たと思ってヒヤッとしたよ。
あー驚いた」
と笑った。

by huttonde | 2016-06-14 15:00 | 漫画ねた | Comments(0)
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