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戦国物語 四
戦国物語 四_c0072801_6221363.jpg
『足軽六蔵奮闘記』 四

古竹攻略

 城を任されれば、その地域を開発し、発展を促し、
攻守共に励むことになるが、敵が多い東南方面では
特に敵城攻略を進める役目となる。
 神保家が先代武蔵守惟道の後継として、年少の惟定(本丸)と
惟道の弟の式部大輔(しきぶたいふ)惟実を推す両派に分かれた
ものの、武力衝突までには至っておらず、当主となった惟定は、
譜代家臣筆頭、梶谷左兵衛大尉宗嘉(かじや さひょうえ
たいじょう むねひろ)と嫡男内膳佑宗善(ないぜんのすけ
むねよし)が後見役で神保城に落ち着いている。
 対して豊地勢こと新里方は、複数の敵と戦っている現状で、
子供任せでは危ないという明快な理由で、東側諸城と同じく
惟実派だが、当主が惟定に決まった以上、叛旗を翻すわけには
いかない。追放された式部一派の動向を追い、彼らの反撃に
与する気はあるが、
「現状、式部(惟実)様が領内不在では助太刀も叶わず、
神保家に逆らう道理はない。あくまでも神保方として
東南攻略を進めよう」
 城主新里兵部義正は、神保家の後継問題で停滞していた
南部の古竹攻略を再開すべく、坂原大膳や峰口左京など、
家中有力家臣六人を集めて軍議を開いた。
 左京が現状報告に意見を足した。
「最近の古竹領偵察からの推定では、石高は六万から八万、
多くて九万程度で、従って常備兵力は千五百から二千五百に
なろうかと思われます。古竹を攻めるとなれば、こちらは東西の
支城を含めて三千、本城(神保城)から二千程の援軍を仰ぐと
して倍の五千となり、孫子の兵法にある如く、敵を分断し勢力を
削いだ上であれば勝機を掴めると存じます」
 兵部も考えを巡し、
「古竹単独では良いが、不利を知る古竹は隣国に援軍を呼ぶで
あろう。あるいは留守となったここを攻め入られたら、
形成逆転もあり得るな・・・・」
 神保に比べれば劣勢のはずの東南諸勢力が長年に渡って神保に
対抗を続けているのは、ひとえに諸勢力が反神保で連携している
ことによる。
 一国では小さくも、二国三国と共闘されては
互角以上に苦戦を強いられかねない。
 特に、森柳乙羽領の奪還や神保後継問題などで一段と活気
づき、攻守逆転して各個撃破の危険は神保側にもあり得た。
 しかし、強気の大膳は意に介さない。
「戦を始めるのはこちらの勝手、事前に知らせるならともかく、
そうでなければ援軍が来る前に決着をつければよいことに
ござる」
 倍の手勢による短期決戦で充分と見込んでいる。
「兵は拙速を尊ぶという。もたつけば不利になるのは当然。
先の森柳乙羽両家の滅亡は、連携による油断と、想定外の戦法に
対処できなかったことにあり、兵は数ばかりでは烏合に過ぎず、
戦は勢いが肝心にござる」
 全否定したはずの六蔵の代弁をしたような言い草に、
「いかにも、古竹は弱小にて、これまで神保方に甘さが
ありました、これを機に容赦なく断固討つべし」
 と、家臣数人が大膳への媚びにも思える威勢のいい同意を
示した。
 左京は、
(大膳様も臨機応変か・・・・)
と鼻白む思いになったが、呆れてはいられない。



「では、攻めるとなれば敵は籠城して持久戦に持ち込み、
隣国から援軍を呼ぶと思われます。それが叶えば次は
城を打って出て、我らを挟み撃ちするやもしれません。
それを防ぐためにも、敵への調略を進めましょう。敵城は三つ、
砦は六つほどありますが、まずは前線の城に書状を送って
内応を求めます。合戦の際での寝返りであれ、その後の攻城戦
での開城であれ、戦わずに済めば上策」
「左京はいつもながら細かいな。戦は逃げ腰では進まんぞ」
と、大膳は軽く否定するような物言いで失笑した。
 左京は苛立ち、
「調略が逃げ腰とは初耳にございます。大膳様は文武両道は
弱者の言い逃れとか、とかく珍説を述べられますが、
奇をてらうのも場合によりけりです」
「奇をてらうとは何だ!」
 大膳が怒りを露わにした。
「稚児の喧嘩と違い、戦は暴れるだけでは不利になり得ます。
事前に二重三重に手を打つのが戦を為す者の分別と心得るべき
です」
「馬鹿めがっ! 俺に説教するか左京!」
「必要とあらば幾らでも説教致しましょう!」
「もうよい」
 兵部が苦い顔で軽く手でいなした。
 大膳は左京を睨みつけたまま、
「・・・・敵が調略に乗ったフリをした場合、
どう見破るのか。わかりませんでは済まんぞ」
「それを頼りの戦でなければ、乗るも乗らぬも
我が方に問題ありません。乗れば共に助かり、
そうでなければ相手は後悔することになるでしょう」
 主君は義正であって大膳ではない。必勝の態勢を邪魔
するのであれば、大膳といえども安易に同意とはいかない。
(つくづく邪魔な奴だ・・・・)
 左京は怒りから侮蔑に変わっていた。
 兵部は軽く頷き、
「うむ、では、調略は左京に任せる」
「は」
 軍議は古竹攻略を決めた。
 兵部が先に部屋を出て行くと、大膳がいつもの鋭い目で
左京に迫り、
「左京、殿の御前で随分と見得を切ったな。生憎俺は、
お主の小細工で戦が有利になるとは思っておらぬ。将兵の
奮闘あればこそ勝敗は決する。当然だ」
 と笑みを見せた。
 左京は左京でいつもの無表情だが、
(・・・・この者は本当に戦馬鹿なのかもしれぬ・・・・)
 と呆れた。
「お主は近頃、殿の信頼を得て調子付いておらぬか。
譜代に甘んじるなと忠告してやったはずだぞ」
 大膳もまた絶対の自信を持っていることが言動でわかる。
「これはしたり。本来、御政務に励まれるのが家臣筆頭の
御役目。それを我ら部下に押し付け、自身は戦場(いくさば)
で浮かれてその功を競い誇るばかりで、戦場で総大将として
大見得を切っているうちに、自身を殿と勘違いされたのでは
ありませんか?」
「馬鹿もん! 戦で活躍するに何の遠慮があるか!将たる者、
常に先陣を切る意欲無くして兵達を率いることは出来んぞ!
俺は一家臣として誰よりも率先して励んでいるに過ぎぬ、
否定されるいわれはない!」
「申し上げておるのは率先の範ではなく、蛮勇の愚に対してで
ございます。家臣筆頭を任ずるのであれば、戦で無邪気に
飛び跳ねてばかりおらずに、地味な御政務から逃げず、
取り組んで下さいますように」
「おのれ、どこまで俺を愚弄するか! 」
 浅黒い顔を赤くして大膳が拳を振り上げると、
「大膳様、城中にござりますれば!」
 と、背後にいた他の家臣達に腕を掴まれ、
両脇を取り押さえられた。
「万事姑息な左京めが、己の卑屈を自覚せい!」
「ならば御自身の横暴も気づいて下さりませ」
「この・・・・!」
 大膳は目をむいて再び殴りかかろうとして、
また家臣達があわてて両脇を抱え込み抑えた。
「戦となれば事前に細かく打ち合わせも必要と
なります故、逃げず投げ出さず対応されますように」
 左京は澄ました調子で言うと、家臣達に両脇を抱えられて
怒鳴り散らす大膳を後にした。
(さすが鬼頭の大膳、到底将たる器に非ず、だ)

 翌日、意外な報告に兵部も左京も困惑した。
 兵部による援軍要請の書状を携えた使いを本城へ送ったが、
本城の筆頭家老、梶谷左兵衛からの返書には、
「・・・・此度古竹領攻略に於ゐて本城への援軍要請の儀に付
現況家督騒動を機に領内心もとなき様相有之候
昨今は於城下不審火頻発し本城へ敵対仕り為画策
一派の存在有之との疑有之候由
本丸(惟定)様警護厳重と致居候
尚又城下及領内警備も一段と強化必要有之候故
将兵のやりくりは諸城各々賄ひにて対処されたく
何卒御承知置給わり御容赦願いたく存候・・・・」
 という具合で、家督後継の対立で領内まで不安定な上に、
本城城下で火事が頻発して反対派による策謀の疑いあり、
惟定警護と領内警備を強めるため兵を送ることは出来ない、
各城は自力で頑張って欲しいと、やんわりと断ってきた。
「・・・・援軍が出せない、と?」
 書状を見た兵部は眉をひそめた。
 左京も兵部から書状を受け取ると目を通した。
「・・・・おそらく、我らが式部派と伝え聞いて、
警戒しているのでありましょう」
「古竹へ攻め入ることが本丸様への敵対とでもいうのか。
城下の火事が我らのせいとでもいうのか・・・・梶谷のじじいめ、
疑っておるのか」
 神保城(本城)がそれでは、同じ本丸派の西部諸城
からの協力は望めず、豊地勢と同じ式部派とはいえ、
東部諸勢力に備える東部諸城も無理だろう。
 結局、豊地勢三千の兵で対処することになる。
「俺は大膳とは違う。三千では厳しいな・・・・」
 渋い顔の兵部に、左京は淡々と、
「・・・・ここは一度、こちらから釈明の書状を送るか 、
本城へ出向いて直に釈明して誓詞を呈上されては
いかがでしょうか。どちらにせよ必要とあらば、
この左京めが参りましょう」
「・・・・うむ、そうしてもらおうか・・・・」

 左京は数人の供と献上品を用意して神保城へ赴いた。
 相対したのは、譜代家臣筆頭家老格、
梶谷(左兵衛大尉)宗嘉(むねひろ)。
 その嫡男内膳佑宗善(ないぜんのすけ むねよし)も
傍に座し、細く垂れ目がちの温和な表情の左兵衛の
一方、左京ら新里方が式部派と伝わっているせいか、
宗善はあからさまに敵意の目を向けている。
 宗善は左京とほぼ同世代だが、これまで関わりが無く、
互いに何も知らない。
 左京は平伏したまま声を張って口上を始めた。
「豊地勢 新里兵部大丞(ひょうぶだいじょう)義正が家来、
峰口左京にござります。まずは何より、本丸(惟定)様御当主
就任、誠に祝着至極に存じます。前線にて番兵を任じる我ら
豊地勢の神保家来として、安堵の次第にござります。左兵衛様
並びに内膳様の御辛労は並々ならぬものと拝察致し、
遅ればせながら家中一同、只々感謝申し上げます」
 年少の惟定の後見役として本城で取り仕切る梶谷親子は、
事実上当主も同然である。
 左京も緊張を伴って言葉を並べた。
 左兵衛は微笑んで、
「左京か、よう参られた。先日そちらにも知らせた通り、
領内で良からぬ噂がある上に、城下で不審火が続いておった。
少数の手勢であればともかく、大々的に軍勢を送るとなると
本城が心許ない。それ故渋ってしもうた。他意はござらん。
状況が落ち着けば協力出来るのだが・・・・」
「その件につきまして、御本城に誤解あるのではないかと
我が主君兵部が痛く憂慮し、恐れております。領内にて豊地勢は
式部(惟実)派との噂立ち、本城への謀叛の企てありとまで
流言が飛び交っているとのこと、大変心外であり、事実無根に
ござります。我が豊地勢は先代武蔵守(惟道)様の御指図に
従い、東南攻略の要たる豊地城を任されて以来、これまで一貫
して東南の番兵として勤め、頑強なる反神保勢を防ぎ、あるいは
打って出て参りました。されど神保分裂となれば、敵諸勢力は
勢いづき、各地の防衛も困難に相成ります。何卒責任ある左兵衛
様並びに内膳様におかれましては、流言飛語に惑わされませぬ
よう、また、少なくとも我らがある間は、御本城の御意志に
違えることは無しと、重ねてお誓い申し上げます」
 左京は持参した誓詞を懐から取り出すと広げ、
「これは主君兵部より預かりました誓詞にございますれば、
中を御改め頂き、是非御納め下さりますように」
 と、膝で立ち上がってずいずいと前へ進むと
誓詞を差し出して平伏した。
 左京としては、惟定は無論、梶谷親子ら本丸派を
敵とする理由はない。
 仮に彼らが式部派を敵とするならば、本城の神保城より
東部はほとんどが式部派として分裂、本丸派が劣勢と
なるのは確実ながら、それでは同士討ちでもあり、
各近隣勢力も両派いずれかに与して漁夫の利を狙うのは
必定である。そうなれば神保家は崩壊、これまでの
努力は水泡に帰すであろうことは容易に想像できる。
(まさか互いの戦まで望んでおらぬと思うが・・・・)
 梶谷親子が本丸派で領内統一を図り、式部派の
排除を更に徹底させるという意図もあり得る。
 左京はひたすら平身低頭の体で、豊地城の新里方も神保
(惟定)家臣であることを強調し、兵部直筆の誓詞を
提出すると共に、
「本丸様が当主である事実は先刻領内承知のことにて、我が城中
でこれに異を唱える者は皆無であり、我が主君兵部より、その旨
よくよくお伝え致すよう厳命の上、必要とあれば我が身内一族を
即刻城下に留め置き頂きますよう、既に支度済みと言付かって
おります」
 念には念を、であり、式部支持は一旦棚に上げ、出来ることは
やると兵部も決断し、左京もそれを受けて来ている。
「うむ、良き心がけである。我が方もまた本丸様を護るべく
領内を見て対処するに、気が急(せ)ってしもうてな、
就任の御披露目も無いまま日を過ごしてしもうた。これが
誤解の元で、お互いに齟齬が生じたやもしれぬ。後日改めて
日程を立てて、諸城に知らせようと思うておる」
 左京も安堵の表情を浮かべ、
「左兵衛様の御返答、左京、ほっと致しました。此度、就任後
初めての登城でありますので、兵部より祝儀の品を献上
致したく、まずは祝儀目録にて御確認願います」
「ほう・・・・」
 左兵衛は書状を受け取ると目を通した。
 兵部の挨拶と共に、御当主就任祝儀の品として馬一頭と絹綿の
反物、御筆代(勉学費用)百貫(約一千万円以上)とある。
 軍備で出費も多いとはいえ、本城との関わりを
粗雑に出来ないとした兵部の決断の一つだった。
 左兵衛はいかにも嬉しそうに、
「おお、これほどの心遣い、まったくもってかたじけない。
御筆代は確かに、本丸様に総て遣うことを約束致そう。
また馬も反物も同様、時期を見て本丸様に御活用できるよう
取り計らうように致そう」
 左兵衛は満面の笑みで軽い会釈を繰り返した。
「まあ、要らぬ心配をかけたことはお詫びする。
本丸様を中心に神保家が更に伸びて行くことを
望んでおる。互いに支えて行こう」
「は」
 左京は平伏した。
「・・・・ところで、古竹攻略の件だが・・・・」
 左兵衛は話を変え、左京は緊張の顔を上げた。
「兵部殿から伺っておるが、打って出る意気込みはよしとして、
敵は我が方を迎え撃つにあたり、必ず援軍をもって対抗するで
あろう。となればこちらは三千どころか五千も厳しかろう。
攻めは数倍以上が望ましいのは古来より道理である」
 左京は視線を逸らさず左兵衛を見つめる。
「現状では大軍は無理だが、これを機会に我が本城も全面的に
協力し、我が直属の一部が豊地城と支城の留守を預かり、残りを
兵部殿本隊への援軍としよう。諸城から糾合すれば一万近くは
集まると思う。そちらと合わせれば勝機はあろう。無論、無理は
禁物だ。にらみ合いならばそれでもよい。あくまでも
こちらからの攻勢を示す必要もあるからな」
(本城直属が留守を預かる・・・・?)
 左兵衛の口調は穏やかだが、要は、梶谷親子指揮下の
本丸派軍勢が豊地勢諸城を預かる、ということになる。
 幾つかの想定は用意し、多少の無理も覚悟だったが、
これは予想外だった。あまりにも見え透いているではないか。
 だが、左京も負けていられない。
「援軍は何よりも頼もしく有難いことにて、御決断に感謝
致します。そこで、もう一つ、加えたき考えがございます」
「うむ、何かな?」
「此度の古竹攻略を、本丸様御当主就任の儀と合わせ、
我らが神保勢総大将として、初陣を飾る晴れの舞台としては
如何にござりましょう」
「初陣? 総大将・・・・」
「先鋒は我ら豊地勢が承り、本丸様ははるか後方にて
戦況を確認、見物して頂ければめでたき初陣となり、
内外に新当主の存在を知らしめることに相成ります。
是非、此度の戦を御活用なさりますように」
「総大将か・・・・なるほど」
 左兵衛は宙を見上げた。
 峰口はピンと来た。
 やや間があった左兵衛は、おそらく峰口のこの献策を、
惟定謀殺の企みかと、瞬間的には思い浮かべただろう。
峰口の言に嘘は無いが、それでもいい。
 梶谷親子が途中難癖をつけて留守を預かる豊地諸城を
奪うのであれば、豊地勢は急追して惟定を奪えばいい。
そうなれば梶谷親子は丸裸、煮るも焼くも我らの勝手、
である。
 しかし、左京の考えは単純にそのままであり野心はない。
 今回の古竹攻略は数年ぶりの大攻勢とするものであり、
その手柄を城主兵部義正やその家来達で済ませるのでなく、
援軍に協力した本城も加え、更に新当主の初陣を飾る場と
すれば、本城も豊地勢も同じ神保方であり、新当主惟定を
大々的に知らしめることができる。
 攻略に際しては、先鋒は豊地勢が受け持って戦で立ち回り、
はるか後方の安全な場に、惟定と梶谷親子など、護衛のいる
本陣が高みの見物とすればよい。
 あくまでも惟定が総大将としてそこに居ることが肝要である。
 これを惟定謀殺の可能性と否定的に見るか、新当主宣伝に
活かせると見るかは、梶谷親子次第になる。
(梶谷親子にも損は無いはずだが、まだ疑い召されるか?)
 左京の目も当初と変わって落ち着いている。
(俺の目が意地悪く見えるとすれば、それはお互い様だぞ、
爺さん)
 左兵衛は軽く頷きながら、
「・・・・本丸様はまだ齢十一であり、初陣には早いが、まあ、
初陣はとかく儀礼的なものだ。良い機会と思う。
左京殿の申す通りにしよう」
「更に祝着至極にござります」
 左京は喜びの笑顔を示して平伏した。
「左京、大儀であった。兵部殿にはよろしく伝えておいてくれ。
また詳細は連絡を取り合おう」
「は」

 使者は成功した。
(しかし・・・・ちと見え透いたかな・・・・)
 帰りの道で左京は忸怩たる思いになっている。
 惟定が当主となったことで豊地勢が挨拶に出向いたことは
なかった。惟定惟実と分裂した中で登城が無ければ
敵と見なされてもやむを得ない。
 左兵衛自身が吐露したように、本城たる神保城が各城主に
呼びかけて、大々的に新当主のお披露目をしたわけでないため、
梶谷親子もまた判断を間違ったには違いないが、あるいは、
この状況で諸城がどう出るのか様子見、試していたのかも
しれない。
 いずれにせよ気づかなかった兵部、左京もまた不覚だった。
(・・・・思えば、出仕願いの対応に追われてまったく抜けて
おったわ)
 戦であれば、本陣を敵前にほったらかして敵側面を攻め立てる
ような図だろうか。更には、それに気付いて指摘する者が、
知る限りでは家中に無いという実情である。だとすれば、
尚更深刻である。
(我らも隙がある。危うい危うい・・・・)

 神保城では左京との会見が終わって、
部屋には左兵衛と宗善の二人が残った。
「父上、いかがなされますか」
「・・・・とかく若いときは意気盛んで、知に走り
小手先を覚える。左京め、ほっとしておるだろう」
 峰口同様に、まだ若い宗善には皮肉にも聞こえる。
「老いてなお気性に難ある者も珍しくはありますまい」
 と言い返した。
「然り。結局は本分がものを言う。歳では間違う。しかし
ながら、祝儀を持つのであれば、当主が決まった時点で
駆けつければ無難だったものを、今となっては援軍欲しさと
取り繕いがあからさまではないか」
「無論、それはあるでしょう。されど、それ故に向こうも
膝を屈して我らに頭を下げたとなれば、それはそれで
喜ぶべきことでしょう」
 当初は疑念を持って不敵な視線を送っていた宗善は、左京の
態度に理解を示し、いつしか表情も落ち着いていた。
「また他に膝を屈するやもしれんぞ」
「いや、それを言えば誰も信用できなくなります。
そもそも、御披露目の儀は我らが準備すべきことで、延期は
父上に何か考えがあってのことと推察しておりましたが・・・・」
「忘れとった」
「へ?」
「両派に分かれたと知って警戒が先に立っての、諸城への
呼びかけを忘れておったわ。兵部の書状で気づいた。
もうじき七十故、さすがに歳かもしれんな」
「父上にはしっかりして頂かないと困ります」
「お世辞でも本気でもいいが、しっかりすべきは己自身ぞ」
「よく心得ておきます・・・・兵部様は察するところ、我らに敵対
する気は無さそうですが、父上はまだ疑念をお持ちでしょうか」
「わしは兵部が更に若い頃を知っておる。その近習、坂原大膳
と共に武骨者だ。良い意味で愚直であるが、それが役に立つか、
邪魔になるか、どちらもあり得る。油断禁物」
「では、あの峰口左京については?」
「側近として気張っておるようだが、若さ故の抜かりは免れぬ。
おまえも気をつけろ」
「・・・・世代で決められては敵いませんな」
 宗善は苦い顔になった。
「向こうは向こうで我らが本丸様を傀儡として、神保家を簒奪
する奸賊と疑い、警戒しておるらしい。こちらとて心外だ。
まったく下衆の勘ぐりである」
「・・・・父上は長年敵味方を考え駆け引きを繰り返して、
人の裏ばかり見る癖がありますな。気苦労が絶えぬこと
でしょう」
「うむ・・・・そうだ。すっかり捻くれてしもうた。おかげで
今がある・・・・」
「・・・・捻くれて老いた柳の姿かな」
「なんじゃ?」
「姿からして一見弱いと思いきや、意外にしぶとい様と・・・・」
「・・・・生き残る意気も盛んな老木も、虫に食われて
あとはさよなら」
「・・・・その虫というのは、私でしょうか」
 左兵衛は笑い、
「なんでもええ、みんな死ぬってことだわ
・・・・どうにも俗になるな。未だ風流になれぬ」
 左兵衛はよいしょっと、と立ち上がると扇子で腰を叩き、
「式部派は除かねばならんぞ。争いの元になる。
後顧の憂いは断たねばならぬ」
 と、部屋を出て行った。

by huttonde | 2017-09-12 06:20 | 漫画ねた | Comments(0)
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