我が毛根に気力なし
by huttonde
カテゴリ




地球壁紙画像
今日の富士
色々富士

ハン板電突まとめ
mumurブルログ
万毛号止掲示板
マーキング
香ばしい掲示板
楽韓Web
厳選韓国情報
極東情報網録
ぼやきくっくり
アジアの真実
木村幽囚記
dreamtale日記
日本人よ誇りをもて
日本再生倶楽部
兵頭二十八
ヒロさん日記
宮崎正弘
アンチキムチ団 匿名党
大阪在住
山岡俊介
なめ猫♪
東亜マンセー協会
酔夢ing Voice
桜井よしこ
Red Fox
ざんぶろんぞの怪人日記
朝鮮歴史館
陳さんのWorld view
特定アジアニュース
U-1速報
2ちゃん的韓国ニュース
丁寧語とか、礼儀正しく書いてみる日記2
何でもありんす
アルファルファモザイク
東京エスノ
まとめたニュース
保守速報
モナニュース

まとめサイト
海外の反応ARCHIVE
ショボンあんてな(`・ω・´)
ヌルポあんてな

余命
余命三年ミラー
余命官邸メール
余命関連
日下公人
高山正之 
武田邦彦
宮脇淳子

とりいそぎ。
AshCat
パクリ大国南鮮
K国の方式
半島大陸メモ
檀君 WHO's WHO
韓国のHPを日本語
ビラのHP
たまねぎ屋HP
もう黙ってはいられない
新聞宅配問題

mynippon
ch桜 ニコ動
ch桜
ミコスマ保管所
国際派日本人
大紀元
日本戦略
憂国資料
アジア歴史資料
国立公文書館
アジアメディア
論談
民間防衛
国民が知らない反日

・     
・ 
・ 
・ 

赤塚
水木
杉浦
漫画家志願
鬼太郎人魚売
ニコ動落語

東京情報
群馬弁
何日
こよみページ(旧暦)
東京浴場組合
銭湯・温泉・サウナ
大島てる

radiko
三枚 ニコ動
PPP
月曜JUNK
煮込みおせち5
煮込みおせち4
煮込みおせち3
煮込みおせち2
煮込みおせち
煮込みおせち 音楽5
煮込みおせち 音楽4
煮込みおせち 音楽3
煮込みおせち 音楽2
煮込みおせち 音楽
まじめちゃん4
まじめちゃん3
まじめちゃん2
まじめちゃん
フュージョン・スムースジャズ
スムースジャズ中心
BEST JAZZ TIME
【ながしの】Smooth Jazz
【自己満足】


free counters
検索
お気に入りブログ
最新のコメント
こんにちは。 私は北斎..
by desire_san at 18:54
コメントありがとうござい..
by huttonde at 02:36
カメントツ先生のひかわ先..
by 当時のカービィ好き at 01:19
現物持ってるおれがうそい..
by ピカリン at 14:49
だってPC原人とか20年..
by huttonde at 13:38
マジかー。 あんなきれ..
by ピカリン at 13:17
2色2Pは全然覚えてない..
by huttonde at 12:07
はい、質問に答えます。 ..
by ピカリン at 10:30
一度、中身見て確認してく..
by ピカリン at 09:04
いわゆる丸投げってのが1..
by huttonde at 01:17
やばい。カービィで臨時に..
by ピカリン at 23:36
一体いきなりどうしたんだ..
by huttonde at 20:36
「先生の所をクビになった..
by ピカリン at 15:56
はい、はじめまして。 ..
by huttonde at 12:16
はじめまして。某出版社の..
by 当時のファン at 09:35
最新のトラックバック
フェルメールが愛した「オ..
from dezire_photo &..
癒しの画家フェルメールの..
from dezire_photo &..
浮世絵の誕生・浮世絵の歴..
from dezire_photo &..
セルバンテス『ドン・キホ..
from dezire_photo &..
大自然と旧市街が見事に融..
from dezire_photo &..
イスラム建築の最高峰、ス..
from dezire_photo &..
ワーグナーの白鳥の騎士を..
from dezire_photo &..
武田邦彦講演会
from たまりんの気ままなPC日記
P.McCandless..
from タダならぬ音楽三昧
島田紳助 ワシの御門
from 銀河鉄道は 999
通名なんてやめちまえ!
from 湘南のJOHN LENNON..
新学習指導要領解説書がす..
from 最新スクープ情報
新学習指導要領解説書
from Macパソコン MacBo..
貴州省 デモ
from Newsチェック!
強盗容疑で再逮捕へ 拳..
from 鶴ヶ島近郊ニュースひろい読み
ブログパーツ
タグ
ライフログ
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
カテゴリ:漫画ねた( 94 )

戦国物語 十四
c0072801_5273615.png
足軽六蔵奮闘記 十四

山賊狩り

 吉兵衛達が囲む中、勘兵衛は山賊の存在を認めた。
「賊は何人いたんだい?」
 兵吉の問いに勘兵衛は、
「・・・・二十人程で 、足軽や雑兵のような格好の者もいて、
何人かは槍と、一人は弓を持っておりました。でも、
それ以上はあまりよく覚えてなくて・・・・」
「落武者の類かな・・・・」
 吉兵衛は腕を組んで考えあぐねる。
「村の者は知っていたんだな? いつの話だ?」
 再び平四郎が問い、
「もう何年も前の、城が出来る前でして、
城が出来てからは来なくなりまして・・・・」
と、勘兵衛はボソッと答えた。
 吉兵衛は疑って、
「神保家の拡大に伴って、賊は石峰領を
避けるようになった、と? 城が出来る前も、
既に神保領の頃だろう? そんな問題があるなら
本城にでも知らせて、兵を送らせて賊を捕えるなり
討ち取ればいいことではないか」
「ええ、しかし、奴らは常にこちらの様子を伺って、
城に知らせれば報復すると脅してたんで・・・・」
 平四郎、兵吉も疑問は消えず、
「ふむ・・・・しかし、それは賊なのか?
隣の二白(ふたしら)辺りの撹乱工作とか・・・・」
「あるいは、二白に思わせようとした
北の昭畑の仕業とか・・・・」
 神保と二白、昭畑とは対立には至っていないが、
可能性は無いとも言えない。
「過去の話で解決しているなら、話してもよかろうに、
住民も避けているようだったが、
何かよほど嫌なことがあったのか?」
「いえ、被害と言っても誰か殺されたってわけでは
なくて、金品を盗られたり米を奪われたって
ことでして・・・・」
「女子(おなご)が連れ去られたとかは?」
 平四郎の問いに、
「いえいえ、そんな大層なことには・・・・」
勘兵衛は強く否定した。
「まあそうだろう。あれば村長としての責任を放棄した
罪は大きいからな・・・・そうか、もう昔話で無事に済んだ
のであればそれでいいが、それはそれとして、我らは
きのう今日とだいぶ歩き回ってな、これから隣村へ
行くにも距離がある故、一晩の宿を願いたいのだが」
 勘兵衛宅は村長だけに、他よりも立派な家に
なっている。煮え切らない勘兵衛に苛立っていた
吉兵衛は強気で頼んだ。
 勘兵衛は観念したのか、
「・・・・では、一部屋を御利用下さいまし」
「かたじけない、実に助かる。飯は近所の者に
頼もうかな。武松、正吉、近所に行って頼んでみてくれ」
 吉兵衛は懐から巾着袋を出して、そこから五十文程の
小銭を武松に渡した。一人で雑穀飯一杯として五人分、
薪(まき)代を付けても十分釣りが出る額である。
「では、行って参ります」
 二人は出て行った。

 吉兵衛らは下男に用意された水桶で足を洗い、
通された板の間の部屋で旅装を解くと、
どっかりと胡座座りで一息ついた。
 庭側の戸が開かれ、二面の戸を閉めた部屋で、
平四郎が辺りを伺うように声を潜めて、
「勘兵衛も立場上、酷く被害があっても
認めるわけにはいかないのでしょう」
「うん、俺もそう思える。しばらく滞在して
突き止めるべきかな・・・・」
 吉兵衛が腕を組む。
「勘兵衛がこれ以上話すとも思えませんから、
他の住人にも改めて聴いて廻っては?」
 兵吉も助言し、平四郎も、
「聴くときは一人のときがいいでしょうね。複数だと
互いに他言無用と見張っているやもしれません」
「そうだね、そうしよう・・・・それにしても、山賊なんぞ
がいるとは思わなかったなあ。ということは、
意外と各地でも同じようなことがあるのかな」
「調略によって特定人物の裏切り内応から、特定地域の
一揆とか、必要とあれば何でも十分にあり得ることかと」
平四郎が答えた。
「そうだよな・・・・そういうもんだよな・・・・」
 戦の世であれば、敵を騙し唆し、邪魔をして
窮地に追い込もうと、あらゆる画策が為される。
 吉兵衛は戦さ場での槍働きでは分からない
駆け引きがあることを改めて痛感した。



by huttonde | 2017-11-17 15:30 | 漫画ねた | Comments(0)
戦国物語 十三
c0072801_763523.jpg
足軽六蔵奮闘記 十三

 吉兵衛は三の丸の役人詰所の六畳分板の間一室を
資料作成の場として借り受け、家来と五人で
自己紹介を経て打ち合わせとなった。
 いずれも若い四人のうち二人は、吉兵衛が
雇っていた中間(武家奉公人)で、もう二人は
城山修理による手配であり、槍持と物書き頭である。
「槍持を仰せつかりました佐島兵吉にございます。
これより半年、よろしくお願い致します」
 兵吉は、いかにも長年鍛えて来たであろう
骨太のずんぐりした大柄で、ゆっくり一礼した。
 槍持は単に持っているだけでなく、
いざとなれば槍を振る護衛役で、道場で鍛錬を積み、
評価された手練の者だけが担える名誉の役である。
「護衛を受けるのは俺も名誉だ。よろしく頼む」
「物書き頭を仰せつかりました山野平四郎に
ございます。修理様より話を伺いまして、大変興味深く、
今から楽しみにございます」
 平四郎は城の事務を担う達筆が必須の一人で、
資料作成の大任から、その中でも筆頭の者が
城山修理から頭として任された。
 詳細な調査の取りまとめは、素人の吉兵衛よりも
平四郎に頼ることになる。
 厳(いかめ)しい大柄な兵吉に対し平四郎は
小柄で、落ち着いた表情から才智みなぎる
雰囲気を感じさせる。
「武松と正吉は文箱持ちを頼むよ」
 中間の二人は、かさばる紙を運び、
雑用全般を受け持つ。二人は戦に出なかったことに
ホッとするものの、平凡な雑用の毎日と違って
今回の特別な役目への関わりに、やや緊張を示した。
「つまり新たな郷土資料の作成でしょうか」
平四郎が問うた。
「うん、まあ現状の報告書だね。
題名は決めたよ。『石峰事書』、だ。
この領内のあらゆることをまとめ記す。
それを見れば領内が分かるというものだ。
それだけに、世間に出回るものにはなれないが、
石峰と本城にはあった方がいいだろうな。
城主が変わっても誰になろうとも、この一帯を
治めて、より良くするには、徹底的に知ることだ」
「城主が変わる・・・・?」
兵吉が気にしたが、
「いやいや、誤解せんでくれよ、ここをもっと良くする、
発展させるにはどうするか、ってのがきっかけだったんだ。
それなら事前に知らなきゃどうにもならんからね。
で、興味が湧いて、暇を見てはあちこち回ってたんだが、
それじゃとても足りない。それで修理様にもお願いして、
一大資料作成の許可を得たってわけなんだよ」
 四人共に真摯に聴き入っている。
「そうだ、まだ話してなかった。俺は茅部城下の出で、
その後は須田城に移って、しばらく領内で雑用を
請け負って、最近になってこっちに仕官が成ったんだが、
二人は地元の者かな?」
 吉兵衛に問われると兵吉は、
「・・・・それがしは、親方(繁春)の家来として、
城主になられるという内匠助様に従って、
本城から移って参りました」
「ほう・・・・だいぶ期待されてるんだね」
 平四郎は、
「はい、それがしは、この城下で生まれ育った
農家の次男坊でして、寺子屋で教えていたときに、
師匠から城に紹介されて下働きから始めまして・・・・」
 城山修理から頼まれただけあって、これまでの経緯を
聴くと、やはり共に優秀な人材であることが分かる。
「農家の次男三男となりゃあ邪魔ってなるからなあ。
どうにも合点が行かねえ。それが当たり前っつう
考えも、今の仕組みも違うんじゃねえかと思うが、
じゃあどうすりゃいいかさっぱりわからねえ・・・・」
 吉兵衛自身、百姓の倅であり、世間の価値や仕組みに
理不尽さを感じ、反発もあった。
「このままでいいとは思えないんだがなあ・・・・」
 ぼそっとつぶやくと遠くを見る目で黙ってしまった。
「旦那?」
武松が声をかけた。
「ん? ああ、ごめん、考え事すると止まっちまうんだ」
と苦笑した。
(そういえば・・・・)
 武松と正吉の二人を見ると、六蔵の下にいた
自分と弥助に重なって見える。
 まだ間もないとはいえ、このまま雑用ばかりの
中間をいつまでも望んではいないだろう。
だが、それで一生を終える者は少なくない。
(なんとか進展の手助けが出来ればいいが・・・・
恨まれたくない俺の自己保身、見栄かな・・・・)
と、少し気がかりだった。
 吉兵衛は兵吉と平四郎に、
「・・・・それにしても、貴殿らも修理様から頼まれただけ
あって、尋常ではないとお見受けした。大変心強い。
何卒お頼み申す」
と姿勢を正して会釈した。

 石峰城の所領は約半分以上が山である。
 各地の人口や世帯数といった数字は、毎年徴税の
際に報告されるが、農業や各商売の実情、
住民の事情まではさすがに把握していない。
 これまでの城の資料も取り寄せて、城内の徴税などの
担当役人を招いて直接話を聴いて参考にすると、
改めて所領の地図を真ん中に五人で囲み、
現地調査のための日程を組むべく話を進めた。
 平四郎が説明する。
「領内は四郡三十村、城下含めて三十一ヶ所、
城下と違い山奥となれば、場所によっては往復でも
半日以上潰れます。およそ百八十日間ですから
それぞれ五日弱、城から村、あるいは村から村への
移動を含めて、更に書面にまとめるとなると、
現地調査は長くて三日程度に収めるのが無難と
思われますが・・・・」
 平四郎らしく、書面の手間は真っ先に気になる
ところだろうと吉兵衛も察しがつく。
 兵吉もぼそっと、
「・・・・場所によっては城へ戻らずに、
村から村へと移動した方がよさそうですね。
しかし山越えとなると・・・・」
 吉兵衛は頷いて、
「うん、まあ焦らず行こう。せっかくの機会だから
雑には出来ん。それで遅れるなら仕方ない。
予定ってのは大抵外れるもんだよ」
と笑った。
 五人は城下町の状況を調べるのを手始めに、
一筆書きの如くぐるりと村々を巡って行こうと
計画を立てた。



by huttonde | 2017-11-14 09:00 | 漫画ねた | Comments(0)
戦国物語 十二
c0072801_1334525.png
足軽六蔵奮闘記 十二

見廻り吉兵衛

 下級家臣といえども、役目上家来も必要になるが、
複数人を雇うとなるとやり繰りに苦労する。
 六蔵も仕官が叶って喜んだのも束の間、
人を雇うことで再び嫌でも質素倹約を意識せざるを
得なかったが、勝手気ままな性分もあって、
(どうせ貧乏育ちだ、きのう食えたら
今日は少しでもいいや)
と、足りなければその分自分の食い扶持を
減らせばいいというどんぶり勘定である。
「ちわ〜、六蔵です〜、お邪魔しますよ〜」
 大きな風呂敷包みを背負い、袋を抱え、包みを持った
六蔵が、城下にある自宅の近所、吉兵衛の家を訪ねた。
 玄関先で掃き掃除をしていた若い下男が迎え、
「六蔵様・・・・あの、お頭(かしら)ですね。
ようこそおいで下さいました、
あの、旦那様は今不在なんですが・・・・」
 突然の訪問に多少戸惑っている様子だが、
「うん、いいよ、俺も近所に暮らすことになったで、
挨拶がてら来たでね。おかみさんはいるかな」
「はい、御在宅です。では、どうぞ」
「はいよ」
 「うむ、御苦労」といった、無駄に威張ったような
武士を内心馬鹿にしていた六蔵に同じ態度は取れない。
「にいさん、名はなんだい?」
「へぇ、大三(だいぞう)と申します。
大きな三つで・・・・」
 六蔵は頷き、
「大三さんか、うん、覚えた」
 吉兵衛宅は下級家臣の家族が住む武家屋敷の一角で、
四十坪程の敷地に六畳二間に三畳一間、三畳の土間と
台所、便所と小さい庭が付いた、板葺き屋根の
平屋建てになっている。
 階級、禄高に応じて坪数も部屋数も違っていて、
六蔵も一人暮らしながら同じ作りの家に移っていた。
また、六蔵宅共に家事や雑用をこなす下男や下女は
近所の住人で、生活費や小遣い稼ぎを兼ねて
毎日通って来ていた。
 大三はそそくさと玄関内へ案内して部屋に入ると、
間もなく吉兵衛の女房が現れて、
「まあまあ、お頭、御無沙汰しておりました、
お話はよく伺っておりましたよ」
ひざまづいて一礼した。
「ふくさん、ほんと久々だねぇ。元気にしてたかい」
 吉兵衛の家族とは茅部城下当時に関わって以来で、
約五年ぶりになる。
「おかげさまで、ま、どうぞ中へ」
「いや、ここでいいよ、俺も近所になったで、
ちょいと挨拶ってわけでね」
と、抱えていた袋をどさっと置き、
「これね、玄米だ。一貫程(約5キロ)ある。
古竹城攻めで向こうの地元が分けてくれた。
それからこれ、饅頭だ。みんなで分けてくれろ」
と包みを渡し、
「まあ、こんなにして頂いて・・・・」
「それから、これ・・・・」
と、担いでいた大きな風呂敷包みを下ろし、
「綿入りの半纏だ。この辺は冬は冷えそうだからね。
使ってくれろ」
と包みから解かれると、大きめの半纏が四着と
小さい半纏が一着、ふんわりと大きく膨らんだ。
「あらまあ、ここまでして頂かなくても・・・・」
「御両親は息災かいね」
「ええ、おかげさまで。まだまだ大丈夫です」
ふくは笑顔で答えた。
 吉兵衛の両親は茅部城下にこだわって残っているが、
ふくはひとり娘であるため、心配した吉兵衛が
石峰に呼んで共に暮らしている。
「うん、何よりだ。親は呆けなきゃ長生きが一番だ。
・・・・吉兵衛には苦労かけちまったでな、その上
俺が石峰に仕官出来たのも奴のおかげなんだよ。
お互い仕官が叶ったのは幸いだった。まあ、
家族自慢されるのがつらいが・・・・」
 そこへ倅の大福が部屋からひょこっと顔を出した。
すぐ見つけた六蔵が声をかけた。
「おお、出たなお世継ぎ!でかくなったなあ」
 頬が少し紅みを帯びた丸顔で、しっかり歩いて来た。
「大福殿、赤ん坊んとき以来だなあ。
さすがに覚えてねえだろう。何歳になった?」
「・・・・五歳」
たどたどしく小さな手を見せた。
「おー、若ぇなあ。五歳なんざ無いも同じだ」
と笑い、ふくに気遣うように、
「・・・・まあ、あんたも気苦労が絶えないだろうが、
もし万が一気が変わったら、うちへ来るといいよ。
俺は断らねえよ」
と、ぶははと馬鹿笑いし、
返答に困ったふくは苦笑した。



by huttonde | 2017-11-07 13:00 | 漫画ねた | Comments(0)
戦国物語 十一
c0072801_13455094.jpg
足軽六蔵奮闘記 十一

 勝てば白旗、負ければ赤旗との事前の取り決め通り、
狼煙台より見える先の一本道で、
白旗を高くなびかせた早馬が走り抜けていった。
「勝った!?」
「おーし!」
 狼煙台に居残っていた弥助達十人と元敵兵の
若者二人は、遺体を一ヶ所に集めて、再び休息と
称してだらけていたところで古竹降伏を知り、
弥助達は歓声を上げた。が、
「・・・・俺らなーんもしてねぇうちに勝負がついたな・・・・」
すぐに弥助は不満をもらした。源太がにこやかに、
「でも、俺ら無事だったのはよかったとしましょうよ」
「うん・・・・まあ、良しとするか・・・・」
 弥助は敵兵二人に笑顔で肩を叩いて、
「これで古竹領は神保領になった。これからは
おめえらも神保方の兵だ。よろしくたのまぁ」
「・・・・へぇ」
「勝ったと決まりゃあ、
ここにいたってしょうがねぇ、戻ろうや」
と、困惑気味の二人と弥助達は下山し、
二人は自分達の村に、
弥助達は元いた森成の部隊に戻った。

 古竹家は滅亡した。
 昼前に包囲された古竹城は、寡兵ながら頑強に
守ると思いきや、“村民撫で斬り” が堪(こた)えたのか、
城側将兵が昼過ぎになって降伏すると、門前に参加した
村人達には世帯ごとに謝礼が渡され、峰口以下、
六蔵や家臣達が一礼して謝意を示した。
 その後、左兵衛の了承を得て、峰口や淀橋らが
旧古竹家臣達の協力の下、本城と南北支城での
将兵の再編や名簿作り、旧諸政策を取りまとめたり、
引継ぎなど手続きを進めて、
更に同年の年貢減免を領内に知らせた。
 神保家は拡大に伴って、本城が四公六民と公が低めで、
諸城が高くても五公五民までと定められているが、
古竹家は規模が小さいせいか六公四民だったという。
「神保領となれば今後は五公五民ですよね。
(古竹の)年貢が高かったのは幸いでしたね」
政務を手伝う祐筆の吉池佐吉は笑顔だったが、
「これまでの対戦を考えるとなあ・・・・」
峰口は素直に喜べない。
「神保と古竹は国境を接して以来、
何年も小競り合いが続いた関係で、
仇敵のように思う者もいるかもしれないな」
 佐吉は明るく、
「いえ、そういう者はこの戦で敵方へ
逃げたでしょう。これまで確認した限りでは、
何人かの武将とその一族が行方不明になっていますが、
ごく僅かです。残った者は納得した者達でしょう。
それに、今回の左京様の策は敵味方どちらも救うもので、
村の者が協力したのもそれ故です。左京様の御配慮は
古竹側も理解しているはずです」
 利発で勉強熱心な佐吉は、その達筆も買われて
峰口から祐筆役を任された、淀橋太郎正道に
次ぐ峰口の側近である。
 明瞭な佐吉の言い分に峰口も気が安らいだ。
「いや、策は六蔵のものだ。
紹介状の礼だったのかな・・・・」
「・・・・あの六蔵殿でしたか」
佐吉は意外そうな顔になった。
「六蔵殿は石峰城に仕官されたそうで、
惜しいことをしました・・・・」
「うむ、逃した魚は大きいかもな・・・・」



by huttonde | 2017-11-01 13:55 | 漫画ねた | Comments(0)
戦国物語 十
c0072801_13173595.jpg
足軽六蔵奮闘記 十

古竹の二芝居

「おい、本軍が来たぞ!」
 陽が顔を出して辺りも明るくなった頃、
弥助達が遠く眺める先に、坂原大膳率いる
神保勢援軍の八千と、惟定のいる義正率いる
豊地勢六百の軍勢が姿を見せた。
 各砦にいた中隊計三百人も下山して、
尚芳の一番大隊に合流し、一千二百の軍勢で
豊地勢の後ろに従い、更に正道の二百九十の遊軍が
続いて、支城を通り過ぎて古竹本城前に進んだ。
 古竹本城は、南北に伸びる緩やかな山の上にあり、
本丸から二の丸三の丸と、段々と南の正門に
下がっていて、西に川が横切る守るに易く攻めるに
難い城で、北から東側へ行くには山を越えねばならない。
 援軍八千はそのまま南の正門方面に三千、
北東に三千、本丸の北に二千と分かれて布陣し、
豊地勢六百は本陣として、川を挟んでその西北に
置かれ、その東には北東の支城に備えるように
尚芳と正道の軍勢が置かれた。
 古竹城では各所に幟旗が見え、正門方面では
遠く柵越しに城兵が守りを固める様子が垣間見える。
城も包囲に対して準備をしているらしい。

 神保方本陣となった義正の豊地勢の陣では、
惟定を上座に、梶谷左兵衛、新里兵部(義正)、
坂原大膳、峰口左京、梶谷内膳(宗善)、高木尚芳、
淀橋正道の他、諸城代表の武将二人ずつ、
計三十人程が集まって軍議が開かれ、
左兵衛が諸将にあいさつした。
「此度は晴れの本丸様初陣の日であると共に、
長らく我ら神保方を悩ませた古竹討伐の日でもござる。
天もまた澄み切って戦日和といえる。誠にめでたい」
峰口の指示で正道の家来達が、諸将には事前に戦況を
伝えているが、改めて峰口が簡潔に伝え、
古竹城について、
「外につながる門は東南北に三ヶ所、本丸、二の丸、
三の丸とそれぞれ堀切で区切られ、その側面は
どこもなかなかに急勾配で距離もあり、上るだけでも
一苦労であることが分かります。また、正門方面には
十重二十重に曲輪が連なって攻め手を迎え撃つ構えで、
本丸方面には側面もまた長い上下の畝(うね)掘が
あったりと、攻め手が横へ動けず、少数がそれぞれ
登らざるを得ない堅い構えになっております。
敵が少数であればいずれ落ちましょうが、
やはり我が方の被害も免れません」
と概要を説明し、
「南北の支城には事前に書状を送り、手出し無用で
あれば、その後の沙汰もお任せすると伝えてあります。
問題は本城で、無論、当主宛にも送ってあります」
 当主宛の書状の内容は、
「・・・・陣取りは時勢の必然にて、此度の儀は神保方に
一歩利ありて偏に運に依るところ大と見るべきところ
なり。当然御当家に罪咎無く、御当主一族一党以下城兵
総ての身の保証を確約する故、何卒報復の情より為す
干戈の交えを排し、互いの和平安寧のために門を
開けられたく云々・・・・」
という具合で、穏便に下手に妥協を仰ぐ調子だった。
攻城戦では、攻め手が勝てば城主側は討死や自刃、
場合によっては逃亡であり、あるいはその後、
攻め手側の一族を養子に迎えたり、
城主交替も珍しくない。
 古竹側がこれを受けて降伏するかは不明だが、
叶えば互いに死傷者も無く落着する。
「城を大軍で包囲しておいて戦を避けたい云々など、
向こうにすれば慇懃無礼で挑発とも取れるな・・・・」
坂原が失笑した。
「無論、どちらにもなります。城兵総てなで斬りで、
当主一族も斬られ、あるいは自刃して全滅、
滅亡を選ぶか、全員無事に城から出て
地味に、あるいは気楽に余生を送るか二つに一つ。
生きるも死ぬも向こう次第」
「では、当主が拒否すれば・・・・」
義正が聞く。
「当主は己が面目を重んじて、多くの城兵をも
巻き込み死に追いやった鬼畜の俗物、
古竹滅亡は必然、天の道理・・・・」
峰口は吐き捨てるように言うが、
「しかし一方、城兵を救うために降伏した当主は、
褒められこそすれ、謗られる謂れはありません。
その善行は後世まで語り継がれるでしょう」
 峰口は当主の善意、あるいは方便に期待している。
「何はともあれ、戦は体を使う前に
頭を使うべきと心得ます」
 坂原はギロリと峰口をにらんだが、
義正もさすがに坂原と峰口の不仲は分かっているらしく、
力攻めを急かす坂原に対する皮肉にも取れて、
「ふん、まあな・・・・」
と軽く笑った。



by huttonde | 2017-10-24 13:35 | 漫画ねた | Comments(0)
戦国物語 九
c0072801_12312196.jpg
足軽六蔵奮闘記 九

 古竹領前の先遣隊本陣では部隊再編が行われ、
準備が進められた。
 初めての重責のせいか尚芳は心配して、
「古竹も警戒して、こちらの動きも伝わって
おるやもしれんな。であれば尚更早めた方が良いだろう」
と焦りを示すが、
(大膳様お気に入りの部下と思えない慎重さだな。
あるいは、部下であればこそ、欠けた面が
わかるということか・・・・)
 正道は落ち着いた調子で、
「敵領内偵察は無論、この近隣も警戒させ、
不審な者は取り調べ、逆らう者は直ちに
斬り捨てるよう命じてござる」
 正道は峰口から常に先手を打つようにと忠告されて
いるため、警戒はしているつもりだが、
やはり責任ある身として不安は拭えない。
「なれど、敵の警戒もあって当然、
覚悟は必要かと存ずる」
と、自分に言い聞かせるように答え、
「覚悟・・・・うむ、そうだな・・・・覚悟はせねばならぬ」
 尚芳もまた自分に言い聞かせるように同意した。
「部隊準備整いました」
尚芳の家来、森成次郎が報告し、各部将も決められた。

大隊各三百人
一番隊・高木十蔵尚芳(坂原家臣)
二番隊・直井源三郎 (坂原)
三番隊・武宮平助吉頼(淀橋)
四番隊・梁田正左衛門(高木)
中隊各五十人
一番隊・森成次郎豊英(高木)
二番隊・山内弥二郎 (直井)
三番隊・北原茂三盛道(淀橋)
遊軍二百人・淀橋太郎正道(峰口)

 当初、先遣隊は坂原の家臣達だけの予定だったが、
強気一辺倒を峰口が危惧して、峰口家臣も
義正をして加えた結果、大隊と中隊の部将も
坂原峰口の家臣双方の分担となった。正道始め
峰口の家臣達はその差配を理解しているが、
尚芳達が納得しているかはわからない。
「よし、出発しよう」
 尚芳から古竹領進攻の下知が下った。
 近隣に詳しい者を案内役に、ごく僅かな
松明の明かりを行軍での印として、
四番大隊を先頭に進んだ。
 幸いに月夜であるため、しばらく先まで見通しが利く。
 目立つ幟旗は立てず、兵も背に旗は差していない。
 代わりに将兵全員は識別用に、両腕と背中に
白い布を着けている。
 古竹領内に入ると各中隊は迂回しながら、
東西に位置する山の中腹や、高い山を背にした
峰にある各狼煙台を目指した。
 山に入るとせっかくの月夜も木々に邪魔されて、
ほとんど見通しが利かずに手探りのような状態で、
小隊の弥助達もこの中にあって、
息も荒く上って行った。



by huttonde | 2017-10-19 12:35 | 漫画ねた | Comments(0)
戦国物語 八
c0072801_331296.jpg
足軽六蔵奮闘記 八

 惟定一行は二の丸の屋敷一角を休憩所とし、
広間では惟定を上座にして、左兵衛以下四人の
神保家臣と、義正達五人とが相向かいで並んで
具足のまま軽い食事を済ませ、
惟定は仮眠を取るため奥の別室へ移った。
 左兵衛は茶を一服して一息つくと笑顔で、
「いやはや、遠征は実に久々だ。それがしも
若い頃は、先代に従ってあちこちと転戦したものだ。
貴殿らの活躍は本城当時も知れ渡っておったな」
と、正面の義正に語りかけた。
 義正は笑って隣の坂原を見やりながら、
「本城ではこの大膳と一番槍を競ったものだったが、
内心はヒヤヒヤでござった。此奴に付き合っていては
命が幾つあっても足りぬ」
と苦笑し、坂原も相好を崩して、
「いやいや、こちらは殿に従ったまで。
退くわけにはまいりませぬ」
と軽く一礼した。
 左兵衛は微笑みながら、
「若い者が家を背負うことこそ望ましく、頼もしい。
本丸様も将来有望、当家も安泰であろう」
「それはもう、如何にも・・・・」
 義正は同意するものの、元惟実派としては
皮肉にも聞こえる。
「・・・・さて、この後であるが、
いかなる手筈となっておるかな?」
「既に出発した先遣隊が古竹領北部の複数の砦、
狼煙台などを占領し、古竹の反撃が始まる前に、
我ら神保方の本軍が大挙押し寄せる予定にござる」
「ふむ、向こうの援軍が来る前に決着、と」
「我らもこれより暁、夜明け前には出発致し、
明け方には敵領内へ入る予定にて、その後、
敵の反撃があれば返り討ちの野戦となり、
無ければ本城攻めと致す所存。敵の援軍は出遅れ、
来たところでやはり返り討ちでござる」
「なるほど、有無を言わさぬ怒涛の攻勢だな。
愉快じゃな」
「では、これより我らも出陣の支度にて、
お先に失礼致す。まだ間がある故、御ゆるりと
仮眠でも取っていて下され」
「うむ、かたじけない」
義正とその家臣達がぞろぞろと席を立ち部屋を
出て行くが、下座に控えていた峰口が、
左兵衛の側に移って座り、
「左兵衛様、我が豊地勢への御配慮、
殿に成り代わり、改めて御礼申し上げます」
と平伏した。
「いやいや、気遣い無用だ。諸城に協力するのが
本城の義務であるからな。これで大勝すれば
また当家の威信も高まる・・・・で、お主はいいのか?」
「はい、左兵衛様御一行が仮眠を取られるので
あれば別室へ御案内致します。そうでなければ
それがしが御咄(はなし)相手をお受け致します」
「うむ、翌朝の激闘を考えればひとまず眠って
おいた方が良いかの。まあ、ここで良い。
野戦での陣に比べれば、これで不満を持てば
バチが当たってしまう」
 よいしょ、と左兵衛はすぐ後ろの柱にもたれかかって
座り直すと、腕を組んで目をつむった。
 他の家臣二人も姿勢を崩して眠る態勢となったが、
「左京殿」
 左兵衛の隣りに座っていた内膳佑宗善
(ないぜんのすけ むねよし)が、左京に声をかけた。
「先日の使者、御苦労でござった。我が父でもある
左兵衛は、貴殿らも承知であろう、後見役として
式部(惟実)派を警戒しておる。俺はお主の口上に
偽りなしと思っておるが、父は長年の苦労のせいか、
性根が捻じ曲がっておってな、なかなか人を信用
することが出来ぬ。ことに戦に関わる・・・・」
「内膳、もうよい。少し寝るぞ」
左兵衛は目をつむったまま声をかけた。
 宗善は苦笑して、
「あの通りでござる」
峰口は笑みをもって一礼した。



by huttonde | 2017-10-07 03:30 | 漫画ねた | Comments(0)
戦国物語 七
c0072801_3213631.jpg
足軽六蔵奮闘記 七

玉取り合戦

 豊地城では古竹攻略のための軍議が度々行われ、
列席の家臣も八人に増えていた。
 さっそくとばかりに峰口が口を開き、
「まだ幼き本丸様の初陣となれば、念入りに露払いを
致し、悠々と本陣にて御観戦頂くのが肝要と存じます。
では、具体策を提示致します」
と、考えてきた策を説明した。
「此度の戦に限らず、我が方と敵方の兵数、
そして軍勢の動く時が勝敗を左右致します。
それ以前には状況把握が必要です。
盲目で敵を殴れぬ道理です。そこで、
敵の情報網を断って後手にさせ、援軍要請を
遅らせるためにも、我が神保方の進路周辺の敵の砦、
狼煙台などを抑えておくのが望ましく、そのためには
侵攻前夜に先遣隊を送り込み、各所を急襲占拠致します。
それを古竹側が察知して、いつもの小競り合い程度と
見て、古竹が二〜三千の軍勢を繰り出した場合は、
即刻部隊は撤収し、迎え撃つのは、直後に大挙して
押し寄せる我ら豊地勢と神保方援軍の一万にございます。
勝敗は最早決したも同然、古竹が撤退すれば追撃して
殲滅すればよく、一部が籠城したところでもはや力押し
であり、落城は必定。本城が落ちれば支城二つも
戦わずして開城となりましょう。
無論、敵の援軍が来るとしても小勢ならば返り討ちは
当然にして、そのまま援軍本国への追撃も可能です。
そうなれば先の森柳乙羽戦の快挙を、偶然ではなく
計画的に、再び実現し得る絶好の機会となります。
いずれにしても今回は途中で引き返すことなく
決着をつけ、左兵衛様のにらみ合いで良しとする
御意見に、戦の主役たる豊地勢が従う義務はありません」
 強気一辺倒の坂原と違って、事前に備えることを
怠けるわけにいかない。しかし、今回の大攻勢は
慎重だけでは成し得ない強気の戦でもある。
 鬼頭、猪大膳こと坂原も納得出来るだろうと
峰口は見たが、当人は、
「・・・・うむ、面白い。ならば周辺もついでに取ればいい。
むしろ事前の連絡網破壊など気にせず、敵に我が大軍を
堂々知らしめて各勢力から援軍を呼び込み、それらを
各個撃破、追い込んで殲滅せしめ、分捕った方が
手間が省けるではないか」
(本気で言ってるのか・・・・?)
 峰口は強気を活かす戦と考えたが、
坂原の強気は更に予想を超えていた。
 いつものよう峰口の表情は落ち着いたまま、
「これはあくまでもそれがしの策の段階にて、敵は敵で
また対策を講じ、実戦でも独自に対応して、予想外の
展開もあり得ます。事前に出来得ることは手を打ち、
必勝の態勢に導くことが肝心にございます」
 またその調子か、と呆れたように坂原が苦笑した。
「この大攻勢は、新当主となられて初陣でもある
本丸様を総大将とする記念すべき戦でもあり、
万全を期し、一分の隙なく完勝を目指しております」
「それは・・・・」
 坂原が何か言おうとしたが、義正が見越したように、
「うむ、その通りだ。左京の念入りな策はありがたい。
しかし、実戦は多くの違いが出るやもしれぬ。
左京には常に考えて欲しい。また、戦となれば大膳、
分かっておるな?」
 坂原はいきなり声をかけられて一瞬戸惑うも、
「は、戦では存分に我らの意気を示して御覧にいれます」
「うむ、頼む」



by huttonde | 2017-10-02 03:30 | 漫画ねた | Comments(0)
戦国物語 六
c0072801_748367.jpg
足軽六蔵奮闘記 六

石峰城

 弥助から紹介された豊地城で断られた六蔵は、
日を改めて吉兵衛から紹介を受けた石峰城に
向っていた。
 距離があるため途中から馬子の世話になった。
馬子の男は若くはなく、六蔵と同世代に見える。
 石峰城に行くと知った男は、
「ほお、お侍だったかね」
と、ぶっきらぼうに聞いた。
 六蔵のいつもの冴えない服装と風貌では、
帯刀したところで、その辺の一農夫にしか
見えないのだろう。
「いやぁ、浪人てとこだねぇ」
「売り込みかい。大変だねえ」
「やっぱり、そういうのは多いのかね」
「あ〜、ちょろちょろ見るねえ」
 神保城と石峰城を東西に結ぶこの街道で、
領内西北から神保城を目指す者もいるのだろうか。
 しかし六蔵は、栄えた神保城方面から逆方向の、
西北の地味な山城を目指している。
「にいさんは仕官は考えたことねえかね」
「俺かい? ん〜、まあ無ぇこたねえけど、
家来はつらそうだしなあ。気疲れしそうだし、
馬子の方が楽だなあ」
「城持ちになりたい者もいれば
農民に満足してる者もいるし、
にいさんは馬子がいいわけだな」
「ああ、元は農民だったけど、
畑仕事はめんどくせえからね。
馬子の方がいいよ」
「誘われたらどうなんだい」
「あ〜、条件次第かなあ」
男は笑った。
 神保領の北西に位置する石峰城は、北も西も
山また山が広がり、平地にかかる緩やかな
峰の一角に城があり、南の城下町には
東の神保城へ続く東西を横切る川と街道が通って、
その南もまた山が広がっている。
 これまでは主に、東の茅部城や四俣(よつまた)
城の支援、後詰の役目を担っていた。
 城主は箕山内匠助惟光
(みのやま たくみのすけ これみつ)。
 長らく神保に仕えてきた地元国人衆の一人で、
正室は惟道の妹であり、名を孝光から惟光に改めた。



by huttonde | 2017-09-26 12:55 | 漫画ねた | Comments(0)
戦国物語 五
c0072801_6384940.png
『足軽六蔵奮闘記』 五

 豊地城本丸、軍議の場になるいつもの板敷きの広間で、
義正はいつものあぐら座りで、帰城した峰口から
報告を受けた。
「今回の登城により、我らは本丸(惟定)派を
明確に致しました。左兵衛様はこれを受けられ、
我らの援軍要請を了承されると共に、
豊地諸城の留守を預かる故、我が援軍と共に
豊地全軍を持って心置き無く取り組んで欲しい、
とのことにございます」
「豊地諸城を預かる・・・・?
預かるのか奪うのか、紛らわしいな」
 義正は眉間にしわを寄せ、顎に手を当て口を歪めた。
「僭越ながら、左兵衛様の意図をこう解釈致しました。
“我ら本丸派は、此度の古竹攻略を神保家拡大の一つ
として認め、豊地勢に全面的に協力するが、
そこで改めて式部支持の意思ありと認められし場合は、
豊地勢も一転敵と定め、その依って立つ城は
直ちに接収、改め直すものとする”、と」
「うむ。得になるから協力するが、その間も
本丸支持(惟実不支持)を明確に示さなければ、
敵と認定して所領総て取り上げる、と・・・・
まったく意固地な爺だのう。何のための誓詞だったか。
どこまで疑うのか・・・・」
 義正は呆れたような、うんざりした顔になった。
「しかし、既に我らは本丸派故、そこで勝手ながら、
本丸様の御出馬を要請し、了承を得ました」
「なに? 本丸様が御出馬と? まことか!?」
「向こうが豊地城を求めるならば、
こちらは本丸様ということで」
「それで向こうは納得したのか?」
「此度の古竹攻略は大攻勢を狙うものにて、
本丸様初陣を飾る晴れの場となり、
内外へ新当主を知らしめる絶好の機会、と」
「なるほど・・・・建前には建前か。だが、
それはいざとなれば、我らが本丸様を・・・・?」
「我が豊地勢が無事帰城するためには、本丸様を
我らの下にお越し頂く必要があります。なれど、
本城の援軍は一万近くとなる模様にて、その殆どを
攻め手に廻した上、本丸様の護衛を我らの手勢に
出来ればいいのですが、おそらく左兵衛様は警戒して
直属の部隊で囲むと思われます」
「そうだろうな・・・・だが、まさか護衛が数千では
困るな。援軍の意味がない」
 義正は苦笑し、
「やっぱり爺も来るかな」
「無論、親子共々直々に率いて来るものと思われます。
それから左兵衛様は、睨み合いでも構わないと
申されておりました。本丸様の初陣として、
一大攻勢を内外に知らせるのが大事であると」
 義正は鼻で笑い、
「向こうとすれば利用出来ればいいわけだ。
初陣で危険な目には遭わせたくない、か」
「本丸様の護衛も、我ら豊地勢が
受け持つ必要がありますが・・・・」
「爺は嫌がろうな・・・・」
「総大将は本丸様、その実権は梶谷親子、
しかし、古竹攻めの先鋒は我ら豊地勢、
作戦総指揮は殿にございます」
「援軍は援軍だ。我らに従ってもらうしかあるまい。
が、爺が仕切っていてはそうもいくまい・・・・
疑心暗鬼も大概にして欲しいな」
 義正は腕組みをして呻くようにため息をついた。
 峰口は特に表情も変えず、
「援軍は本城南側の太平野川に沿う街道を東南へ進み、
豊地城西側に到達します。これが最短距離です。
殿を始め我ら一同は、豊地軍勢を並べてお出迎えし、
直接本丸様へ挨拶の後、我が豊地勢と合流して
古竹領へ南進することになります」
「なんとか本丸様を梶谷親子と
引き離せぬものかな・・・・」
 義正はあぐらに頬杖をついたまま俯いている。
「一つ、確実な手立てがあります」
「うん?」
 峰口は詳細を小声で伝えた。
「なるほど・・・・それにしても、さっきから俺らは
古竹をどう攻めるかではなく、本丸様と梶谷親子を
どうするかの話ばかりだな」
 義正は苦笑した。
「古竹攻めについては、日程等こまごまと、
後日、本城へ使者を出してお知らせする予定ですが、
まず、援軍の出発が早朝とすれば、通常の行軍では
豊地に到着は昼過ぎ、我らと合流してそのまま
古竹領へ入るとすれば夜になります。
奇襲であればともかく、敵地での夜襲は分が悪く、
出来れば朝を待って、堂々の野戦か城の包囲が
望ましいかと・・・・」
「向こうもやはり援軍が来るかな」
「敵も警戒しております故、国境沿いから
我が軍勢の動きを察知し、大軍と知れば、
籠城であれ、野戦であれ、直ちに隣国へ
援軍を呼ぶと思われます」
「あー、芳崎か二樹(ふたつぎ)辺りか」
「はい、芳崎、二樹、土居もあるいは・・・・」
 この頃、豊地城より南の古竹を取り巻くのは、
東の芳崎、南の土居、西の二樹の三勢力で、
豊地城から東の須木江、屋久(やく)も
また反神保勢だった。
 このまま神保が順調に拡大しても、更に東南には
乙元(おともと)、戸成、白澄(しらずみ)の
三大勢力があり、北は昭畑、西は二白(ふたしら)と、
新たな敵になり得る勢力が控えている。
 特に乙元は、滅亡した乙羽の本家筋に当たり、
神保には敵対するだろうと予想された。
「あちこちから援軍では困るな・・・・」
「これまでの経緯から、それぞれに
援軍を出さぬよう策を講じておりますが、
さすがに確実とは断言出来かねまして、やはり、
ある程度は覚悟の必要ありかと・・・・」
「古竹が三千、援軍が千や二千、あるいは三千でも、
古竹が籠城ならば援軍を討ち、野戦となっても
返り討ちにすればよい。
せっかくの機会を逃す手はない」
 義正のこの強気は、やはり幼なじみの坂原と
似ていると峰口には思えた。
「ともかく、我らが期日を本城に伝えてから
本城は召集し、我らと合流して古竹へ向うまでに
二日から三日はかかりますので、まだ日があります。
念入りに策を講じましょう」



by huttonde | 2017-09-22 06:50 | 漫画ねた | Comments(0)