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戦国物語 十五
戦国物語 十五_c0072801_1501021.png
足軽六蔵奮闘記 十五

「賊の住処を探れ。明日、野地と川上双方の村に関わる役人
一同を城内の一室に集めよ。あくまでも村からの知らせとの
体裁にしておけ」
 城山修理の指示により、農夫や商人姿の忍達が、
勘兵衛の野地村と川上村とその周辺に送られた。
 翌日、野地村と川上村の村役人が城に呼ばれ、
城内勤めの上司にも、
「野地村と川上村から何やら大事な話があるそうで、
関係者は集まって欲しい、とのことです」
 と、思わせぶりに伝えられた。
 一室に集まったのは野地村と川上村双方の役人とその上司、
そのまた上司の五人。
 彼らは隣室で待ち受けていた足軽達に直ちに捕縛されると、
先に事情を知った平四郎と兵吉、修理の家来によって個別に
取り調べを受けた。
「勘兵衛の証言同様、石峰築城後に山賊残党の村への再流入が
あり、以降、現場役人と城詰めの者含めて五人の関与が
続けられた模様」
 平四郎の報告によると、捕らえた五人は賊の甘言と脅しに
屈して以後、賊から利益供与を受け、報告と取り締まりの
義務を怠った組織ぐるみの違法と判った。
「賊を掃討せねばならんな。それまで牢に入れておけ」
 と、五人はそれぞれ城内の牢に入れられた。
 翌日には複数の忍から賊の居場所が報告された。
「野地村と川上村の西、十八町(約2キロ)程の山中に、
賊の住処と思われる家を発見致しました」
「ただの民家とは違うのか?」
「複数の賊と思しき者の出入りを確認しております」
「よし、兵を集めよう。夜討ちがいいか・・・・いや、
紛らわしいな。暗くなる前に決着をつけよう。これから
向かえば間に合う。包囲して一網打尽だ」

「我ら神保家に仇なす野盗山賊に情け無用、断固殲滅すべし」
 城山修理が召集をかけると、城の内外から陣太鼓の音が
響き渡り、指示を受けた足軽大将の三橋二郎繁春によって
編成が為されて、繁春を先頭に、修理も鎧に陣羽織姿で馬に
乗り、鉄砲二十人、弓七人、槍二十人、旗二人、足軽三十人、
他荷駄隊や雑兵含めて百三十人が門前に集まった。
 平四郎と兵吉を従えた吉兵衛が慌てて修理の下に駆けつけ、
「修理様、あの、この件についても記録すべく、我らも同行
すべきかと・・・・」
「無用だ。連日となれば負担も増える。賊の一件が解決するまで
ひとまず休んでおけ。兵吉、平四郎、お主らにも手間をかけた。
後日知らせよう」
「しかし・・・・」
 吉兵衛は落ち着かない。
「調査を命じたのは俺だぞ。期限はその分延ばせばよい。
予定なんぞは変わるものだ」
 と笑って馬を進めた。
 後ろに続く足軽の列から、同じく足軽姿の六蔵がひょこっと
現れて吉兵衛に声をかけ、
「よ、なんか知んねえけど御役目か? 御苦労さん」
「あ、頭!」
 声をかける間も無く六蔵は過ぎて行った。
 六蔵の後ろにはその家来、五郎左、彦三、吉松、助六、
勘八の六人もいた。
 石峰勢の出陣は、一ヶ月程前の古竹攻め以来になる。
 六蔵は家来達に、
「いいな、前にも言った通り、一人で相手すんなよ。
必ず二人以上で臨め。命を惜しんで手堅く当たれ!」
「はい!」



 そろそろ夕暮れ近くなる頃、軍勢は野地村より一里
(約4キロ)前に着くと二手に分かれ、一隊は遠回りに山中に
入って、国境ぎりぎりに密かに待機させ、修理率いる本隊は、
忍達から野地、川上両方の村の報告を受けると、そのまま山中に
進んで行った。
 賊の住処は元は民家らしく、所々が古く朽ちた様子で、
周辺はひらけている。
 本隊の一部は庭先を遠巻きに囲って潜み、裏では密かに
わらの束や廃材などを、壁にずらりと立て置き並べて
油をかけた。
 本隊には捕まった丸腰の村役人二人とその上司二人も
縄で縛られたまま同行しており、役人二人が縄を解かれると
庭に立った。その後ろには修理の役人二人がいる。
「おーい、いるか? ちょっと出て来てくれぃ」
 村役人の呼びかけに、戸を開けて顔をのぞかせた男が、
「あれ? 旦那、どうしたんすか、こんなとこまで・・・・」
「大事な話があるんだが、今そこに何人いるんだ?」
「何人て・・・・十八人いますよ」
 賊はぞろぞろと顔を出して来た。
「じゃあ全員か」
「ええ」
 後ろの役人二人が離れて、
「十八人全員います!」
 と遠くへ叫んだ。
「!」
 気づいた賊の一人が外へ飛び出すが、
「撃て!」
 数発の発砲によって、賊は前のめりに転がるように
倒れ込み、顔を出していた賊達は慌てて戸を閉めた。
 一方、裏に潜んでいた兵達は家の周りの
わらに火を付け、火はみるみる広がり燃え上がって
家を覆い尽くす程になった。
 たまらず賊は戸をせわしく開けて、どたばたと飛び出して
来たが、鉄砲足軽十人の一斉射撃と弓矢によって三人が倒れ、
五人が走るも、
「 逃すな!」
 と、待ち受けていた六蔵ら足軽達や槍隊に討ち取られた。
 わずかに遅れて走り出て来た者達も、残る鉄砲十人と弓矢の
的になって二人が倒れ、二人がやはり足軽に討たれて、三人が
兵達の攻撃を振り切って国境方面に姿をくらませた。
 更に遅れて肩をはだけたり乳を出した女性四人が飛び出して
来て走って行き、残る賊二人は手を上げて出て来て、
「撃たないでくれ! 助けてくれ!」
 と降参を示した。
 燃え盛る家から離れて、賊二人が捕らわれ縛られ、
同行していた捕らわれの村役人達四人も同じくその場に並んで
膝まづかせられた。
「お前達は二白の手の者か」
 修理直属の家来が賊に強く問い質すと、
「いえ、俺らは何年もここを寝ぐらにしてたもんで、
なんも関わりねえです」
 と叫んで否定した。
 家来と賊のやり取りがしばらく続いた後、家来は修理に
報告した。
「二人は賊ではないと言い張っております」
「・・・・今更真に受けるわけがなかろうに」
 修理は馬上から扇子で合図を出すと、賊と村役人ら七人は
直ちに銃殺された。
 逃げていた三人は国境を越えようとして、待ち受けていた
部隊に討ち取られた。
 討たれた賊と役人達二十二人はその後晒し首となり、
役人達の監督責任のあった家臣一人が城内で切腹した。
 僅かな利益と脅しに屈し、責任逃れが重なって、数年に及ぶ
山賊と村役人の結託、城側の放任による村への被害が
見逃されてきた。

 翌日には山賊掃討も城中にも知れ渡る。
「捕まった役人四人も現地へ行ったそうだね」
 留守番となった吉兵衛達は、一室で書類を整理しながら、
事情に詳しいらしい平四郎に語りかけた。
「はい、関係者として同行しましたが賊の抵抗激しく、
掃討の際にそれぞれ討死したそうです」
「討死? 四人全員?」
「はい、責任上かなり無理をしたと思われます」
「そうか・・・・きついな」
 今回の賊の一件は、現場役人とその上司達の責任放棄による
失態であり、処罰は当然で上司の一人はやはり切腹したという。
(四人は死ぬ気だったのかな・・・・)

(やはり山賊掃討の報告では済まぬ・・・・)
 城山修理は家臣筆頭で家中の仕切り役である。
 知らなかったのは事実でも、一定の責任を負うべきではないか
と苦悶し、結果、事の経緯を城主箕山内匠助に報告した。
「斯くなる上は、それがしもまた腹を切るか、禄の召し上げ、
蟄居閉門、何なりと御沙汰を下されますように・・・・」
 若い頃は戦にも度々出て、死ぬ思いは幾度もあった。
 家中での立場も上がり、還暦を前に死んだとて、まあまあの
一生と思うべきではないかと納得させていた。
(・・・・これで死ぬなら不覚による討死であろう・・・・)
 修理は深く頭を下げて覚悟を示した。
 内匠助は静かに聴いていたが、
「・・・・此度の件は、我が石峰家中の不覚であり怠慢である。
されど、総てを逐一把握するなど不可能というものだ。
修理の覚悟は当然とはいえ、その理屈では石峰勢は転封か
改易、俺でさえよそへ預かりの身となりかねぬ。ようやく
居場所を得てこの地を盛り上げようとしておるのに、
御破算とするわけにはいかぬ」
 修理はただ頭を下げている。
「賊を残らず討ち、刑に処したのは当然だが、責任を負うために
闇雲に腹を切っては困る。二度とこのような事が無いように、
修理が率先して改めてくれ」
「は、不法を糾し、家中の秩序を保ち、石峰安寧のため
尽力致します」
 修理は平伏した。

 その後、修理は吉兵衛達を呼んだ。
「吉兵衛、此度の山賊退治の件、城による処置は資料に記して
良いが、我が石峰勢の名誉を傷つけることは避けてくれ」
 城の失態は記述不可、である。
「は、かしこまりましてございます・・・・」
 山賊退治はともかく、城中の共犯については城外、
本城へ漏らすわけには行かない。
 石峰勢の面目が立たぬ、どころではなく、箕山内匠助以下、
石峰勢全体への処罰となっては敵わない。
 だが、修理の指示に平四郎の目は険しい。
「詳細に記録を留めるべく我らは役目を担ったはず。城側の
事情で安易に事実を曲げては、我らの役目、面目が立ちませぬ」
 賊の拷問の際、修理の命令ですぐに賊を斬り伏せた平四郎が、
この命令には抵抗を示している。
「平四郎殿は修理様の忠実な部下と思っていたが、違うのか?」
「それがしは総て是々非々にございます。道理を曲げて治世は
ならず、というのが根本にあります」
 平四郎は剛直だった。
「・・・・うん、その通りだが・・・・ここで我を張って修理様に
逆らって役目を解かれては元も子もない。とはいえ、
無かったことにするのは、まさに我らを否定するものだ。
俺も断じて受け入れられぬ・・・・」
 吉兵衛は腕を組んで、
「・・・・消さねばならず、消してはならず・・・・」
 宙を見上げてしばし黙っていたが、
「・・・・原本には残しておくか・・・・」
「原本の確認を迫られることはありますまいか」
 平四郎が気にした。
「献上はあくまでも写本だ。煩雑な原本の確認までするとは
思えない。あれば関連事は隠せばいいさ」
「そうですね・・・・」
 平四郎は落ち着いた表情を見せた。
「事実は事実、我らは私情挟まず事実を記すのみ。写本は写本、
原本は原本、評価は後世に任せる、それでいいかと思う」
 平四郎はしばし俯いていたが、
「・・・・仰せの通りに」
 と一礼した。
 吉兵衛はふふと笑いを漏らした。
 平四郎は不審な顔を上げた。
「いや、平四郎殿は頭に選ばれるだけあるなあと・・・・からかって
いるわけではないよ。今回の御役目、貴殿は修理様が選ばれた。
結果、その修理様が困るような一本気を示された。皮肉なもんだ
なあってさ・・・・」
「・・・・修理様は、『役目を担うならば、それにて死して後悔せず
という意気を示せ』と仰せでありました」
「へぇ・・・・修理様もなかなか激しいなあ・・・・若い時には戦さ場
でもその意気込みだったのかな・・・・」
 吉兵衛は修理の戦さ場での姿を想像した。

 山賊掃討が済んで、野地村と川上村の村長など
村側の取調べが続いたが、処分は不問となった。
 城山修理は決然として石峰領内の各村に伝えた。
「今回は城側の不覚である。だが、それに甘えて
村が村として責務を負わなければ、それも問われて当然。
今後繰り返された場合、村側責任者も共犯として厳罰に処す」
 本城には山賊掃討と、報告が遅れた責任を取って、
家臣の一人が切腹したことも伝えた。

 吉兵衛達五人は修理の使いから調査再開の指示を受けると、
改めて野地村から川上村と巡り、近隣の収入源にもなっている
林業についても調べた。
 戦での臨時雇いである雑兵は無論、足軽でも生活の足しにと、
副業としてある者は農作業を手伝い、ある者は商いや手工業に
携わり、特にこの地域では木材の伐採や搬出輸送、売買などの
林業に関わっている者も多い。
 吉兵衛は百姓の倅ではあるが、林業については無知である。
しかし石峰領の主要産業となれば無視は出来ない。
 現場の従事者から細かく聴いて、関連資料の一つとして
まとめることにした。
「一定の区画に植林されているのは建材の主流である杉と檜で、
規格以外の木も薪や炭に利用されて、松明(たいまつ)などの
燃料や、その煤(すす)を元にした墨汁作りのために松も
植えられています」
 現場責任者である宗八はもちろん石峰勢、
箕山家中の一員であり、長年に渡り林業に携わってきた
年輩の職人である。
「建材として使われる杉や檜は、苗木から六十年前後、
長いのは百年を越えます。木も生き物ですから病気にもなるし、
手入れ次第で成長具合は変わります」
「儲けとするにはどうしても短めにしたくなるでしょう?」
「まあ、早く育てばその方がいいですがねぇ」
 吉兵衛の質問はたわい無いことばかりだが、宗八は互いの
立場もあって気遣っているのか、休憩を兼ねているせいなのか、
苛立つこともなく笑顔で答えている。
「当事者としてこの植林は大きくすべきとお考えですか」
「もちろん、多ければそれだけ城の収入になり、
神保家にも貢献することになりましょう。されど、
植林は最近のことで、この辺でもよそでも狩猟が
普通でしたから、広がると不都合が生じましょう」
 杉や檜は針葉樹であり、実をつけ葉を落とし地を養うブナ、
ミズナラ、カエデなどの落葉広葉樹林や、シイやカシといった
照葉樹林とは違うため、ドングリなどの実をつけることもない
植林(人工林)地域が増えれば、野生の鳥獣達は無論、猟師、
またぎにも迷惑である。
「城の方針はどうなっておりますか?」
「領内の建材は自給自足が前提ですが、今後儲けるために
領外へ運び出すとなれば、更に広く植林の必要が出てきます。
そうなると、獣達にも暮らしづらく、地盤も弱まって山崩れの
心配もあります。現状のままであれば住み分けで大丈夫でしょう
が、拡大となると危ないでしょうなあ」
「分散させた方がいいと」
「災害の原因が植林となれば、関係者は無事では
済まないでしょう」
 と、宗八は首を斬る仕草をした。
 堤防によって川の流れや勢いを変えることで洪水被害を抑える
ことは、全国各地で実施、計画されていたが、自然の流れを人間
が干渉して変えれば不都合が生じやすい。その地の状態、自然の
働きに対する無知無配慮が要因である。
「儲け優先にすれば山を荒らし、災害になりかねず、昔ながらに
守れば建材は不足、儲けにならぬ、か。あちらを立てれば
こちらが立たずだなあ」
 またも迷いを生じる現状に、吉兵衛は苦笑した。
 平四郎が会話を一通り書面に直すと、
「石峰領内の植林地域は、この近隣と、次に向かう郡内に
一定区域あります。今後拡大の方針となれば、近隣の村に
大雨の際に山崩れの危険があります。その地域も特定しておく
必要があると思われます」
「うん、記録とは別に報告しといた方がいいね」

 吉兵衛達は植林地域と、隣接する自然林が広がる区域にも
足を運んで、猟師達にも話を聴いた。
「植林は困りますよ。獣がいなくなったら元も子もねえし、
熊や猪が山から降りてきて畑を荒らすし、人を襲うことだって
あり得ますよ」
 猟師達も植林の重要性は理解しているが、立場の違いもあって
同意ばかりはしていられない。拡大については、やはり渋い顔
である。
「山だけの問題じゃねえですよ。海の問題にもなるし」
「海? どういうことです?」
「山の滋養、養分は川へ流れます。それで魚も生かされるし、
海へ行って更にでかい魚や貝が育つ仕組みです。つまり、
山を貧しくすると海も育たず、海の漁も困るんですよ」
「あ〜、猟と漁、両方か」
 これまで吉兵衛は、上流が汚れれば下流も汚れるだろう、
という漠然とした認識で、山の問題が海の深刻な問題へ直結
するとは考えもしなかった。
 神保家は海に接していない山国といえるが、今後拡大を
続ければ、海に対する認識を深める必要がある。また、
猟師同様に自然の働きを知っているだろう漁師達が、不漁の
原因を上流に求めれば、やはり大名同士の争いに
つながりかねない。
「こりゃあますますほっとけねえな・・・・」

 吉兵衛は城山修理に、植林による弊害の懸念を伝えた。
「自然は常に循環し、均衡を保っております。
山に雨が降り、陽を浴びて、草木は土から養分を得て成長し、
春から夏に葉を茂らせ、秋に実りを得た後に葉は枯れ落ち、
その葉はまた養分となり、虫が食み、その虫を大きな虫が
捕えたり鳥獣の餌となり、更に大きな獣の糧となって、死んだ
獣もまた地に帰って草木や虫を育てます。猟師はその流れの
下に暮らしております。一方、山の養分は川を通して下流の
魚貝を育て、遠方の漁民の暮らしをも支えております。
自然の循環の結果、人も存在し得ることになります。農業も
同様にございます」
 この循環による自然のありよう、生態系の働きは、農民に
限らず、長年この世に生まれ育てば合点の行くところだろう。
 修理は武家の出ではあるが、山の民といえる。産業を起こし
盛り立てる立場であれば、無知無関心でもない。
「うむ、吉兵衛の言、よく理解出来る。植林の効用はあくまでも
人間の事情、銭勘定の問題で、自然の流れに逆らう。結果として
災害をもたらす。確かに塩梅が必要だな」
 一方山奥での猟は、獲物を追う結果として不注意にも国境を
越えたり、知りながらも敢えて越える場合もある。
見つからなければいいが、見つかれば村同士、ひいては
近隣の国人衆や大名間の争いにつながりかねない。
「猟による乱獲、他勢力への越境、それらによる諍(いさか)
いは避けねばならぬ。猟師は当事者として地の利に明るく、
乱獲の愚を犯すとは思えぬが、見込違いはあり得る。事前に
取り決めておくのが無難であろう」
 これにより、石峰領内での儲け優先などによる城の許可を
得ない植林拡大や乱獲の禁止、同様に治水工事や土地の造成には
城の許可を必要とすることを石峰(箕山)家法に加え、更に本城
へ諸政策(分国法)の一部として献策した。
「煩雑な手続きが増えるが、大雑把ではまた揉め事が増える。
これも必然だろうな」
 修理の了承を得て吉兵衛達は、再び村々を巡って現状を把握
し、問題点や改良点に気づくと城へ報告を繰り返した。

「地元を知るのは楽しいなぁ。なんだか世間がもっと身近に
なるような、一体化するってぇと大げさだけど、なんか
落ち着くよ」
 細い田舎道を歩きながらの吉兵衛の感慨に、付き従う平四郎と
兵吉、武松、正吉もそれぞれに納得出来ているのか、笑顔を
見せている。
 大柄な兵吉は、槍を担いでゆったり歩きつつ、
「城での雑用とは違って、こうして歩き回るのも
気がまぎれるのかもしれませんねぇ」
 と答えた。
「このまま戦もなく城下や村々が栄えていけば万々歳だな。
石峰に仕官したのは正解だったよ」
 平四郎は遠く山々を見渡すと、
「吉兵衛様、せっかくなのでもっと国境を見て廻りましょう」
 と、山中への散策を勧めてくる。
「・・・・二白(ふたしら)の動きが気になるのか?」
「植林は神保家に限らず各地で行われているようですが、
まだ乱伐が多く、管理が行き届いているとは言えません。同じ
山国である二白もまた同様の政策や問題点を抱えているはず
です。現状では疎遠といえますが、国境で揉め事があれば、
放っておくわけにもいかず、近隣の現状を把握しておくべきと
存じます」
 隣の兵吉も同意して、
「そういや、向こうも植林や乱伐でもやってるとすれば、
地形によっては山崩れなどで、こっちに被害を及ぼすかも
しれませんな。獣も追われて流れ込むかもしれないし」
「・・・・なるほど。そうなると互いに知らぬ存ぜぬとは
いかないな。向こうには忍は入ってないのかな」
 平四郎はやはり関わりがあるのか、
「無論、近隣にはすべて入っておりますが、調べる対象が
違います故・・・・」
 領外偵察はあくまでも軍事優先で、植林や狩猟地域の様子
などは対象外らしい。
「二白も領土拡大を進めているらしいし、向こうと敵対する
前に、いや、揉め事を避けるためにも関わりを深めた方が
いいんじゃないかなぁ」
 何の権限も無い吉兵衛だが、外交についても思い至った。
 平四郎は頷いて、
「これまで長らく戦といえば東南にあって、また内においては
家督問題で分裂と対立の心配がありましたが、家督問題は
もはや落ち着いたと言えますから、今後は外交面でも新たな
動きがあると思われます」
「まあそうだよね。無いわけないもんな。忠告するのは
やめとくか」
 吉兵衛達は山へ進んだ。

by huttonde | 2017-11-27 15:00 | 漫画ねた | Comments(0)
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