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六蔵参陣 六蔵と五郎左ら六人は、石峰城西方の緩やかな 山道を歩いていた。 皆揃って胴丸甲冑に陣笠、腰には大小二本を差す といった実戦に近い装備で、石峰領内の地形などの 把握を兼ねた行軍訓練だった。 「以前よりも疲れが早いようま気がするな。 やっぱり体動かさねえと鈍っちまうな・・・・」 六蔵が息苦しそうにぼやくと、 「さすがに歳なんじゃねえですか」 と吉松がからかうように言うが、朝から昼近く まで緩急ある山道を歩き通しのため、 皆一様に疲れが顔に出ている。 この行軍は石峰軍勢としての共同訓練ではなく、 六蔵の発案による、六蔵とその家来による限定 されたもので、須田城への往復で脚力、足の弱さを 自覚して、改めて基礎を養おうと判断した結果だった。 城には事前に事情を説明して了承を得ている。 「いざ戦で疲れたら、それこそ命取りだからな。 だからこそ、たまにはきついことした方が 自分のためになるってわけさ」 「それはごもっともだけど、ちょっと休憩 しませんかねえ」 吉松は口調こそ明るいが声量はなく、 彦六も勘八も苦痛の表情になっている。 まだ夏とはいえないこの時期も、強い日差しの 下での長距離の行軍では、全身から汗が吹き出し、 六蔵達の体力を奪う。 松林の一帯を抜け、しばらくして見晴らしの 利く高台にたどり着くと、 「よし、しばらく休憩しよう」 と、六蔵は笠を外して、道端の草むらに倒れこむ ようにして大の字になり、同じく吉松と彦六と勘八も、 「はぁ〜きつ〜」 と、辺りにぐったりと横になった。 「なんだ、頭も伸びてるじゃねえですか」 吉松の言葉に六蔵は虚ろな目で、 「そりゃそうだよ、無理したからな」 と力無く答えて、大きく息をついた。 五郎左と彦三は座り込んで、目の前に広がる 村を見渡した。田畑が広がって所々に民家が 点在する景色は、石峰城から見える景色と 変わらない。 「・・・・十年前に比べると家も増えたな」 「ただの野っ原が田んぼに畑だからな」 五郎左と彦三は竹筒の水を飲んだ。 「そういや二人とも近所だっけか」 のっそりと上半身を起こした六蔵が聞くと、 「いえ、もうちょい城に近いですが、 何度か遠出してある程度知ってたんで・・・・」 「そうか・・・・石峰界隈も着実に発展してるわけだな」 六蔵達はしばらく無言で村を見渡した。 やがて六蔵が空を見上げて、 「この陽気では夏はきつかろうな」 「夏も冬も戦は避けたいもんですね」 「訓練も疲れないのがいいなぁ」 彦三と吉松のつぶやきに皆苦笑した。 「戦も無ければいいのになあ」 彦六もぼやくと皆一瞬無言になるが、 やはり失笑して、吉松はあきれたように、 「それじゃあ俺らが家来になった意味ねえだろ」 「いやぁ、戦も色々あるし、 死ぬような目に遭いたくねえもん」 「いやなら雑兵で済ませるべきじゃねえのか」 吉松は憮然とした。 六蔵は笑って再び横になり、 「出世したいが死にたくはなし、だな。無理もねえや。 だが、本当に土壇場になったら死にたくねえなんて 考える暇もねえぞ。もう無我夢中で、その後に死んでるか 生き残ってるか・・・・死んだら寿命だよ」 彦六は納得できない様子で、 「頭は諦めがいいんですか。俺はそんなに 割り切れねえです・・・・」 「だからさ、いざ戦となったら、考えてる余裕が ねえんだよ。頭真っ白で突撃したりやるかやられるか、 そりゃもう必死だよ。かかれ〜、ぶっ叩け〜、 ぶっ刺せ〜てな調子だよ。心配無用」 「ん〜頭真っ白かぁ・・・・」 六蔵の意に介さないような言葉が、年配者に ありがちな、不都合は無視する雑な割り切りと 彦六には思えた。 五郎左達五人は死の危険が伴う過酷な戦の経験はなく、 実感が湧かない。 「頭が森柳や乙羽を攻めたときは真っ白だったんですか」 彦三のボソッとした問いに、 「あー・・・・あれはなあ・・・・」 と六蔵は答えあぐねたが、 「評定でも聞かれたんだが、追撃は夢中になった 結果でな。場合によっちゃ返り討ちで大勢 死んじまったかもしんねえ。運がよかったんだな。 だが、真っ白だから出来たことでもある」 追撃をやめていたら、相変わらず森柳乙羽と 対峙する日々だったかもしれない、と思えた。 「死にたくねえと思いながら突撃もあるかな・・・・」 まだ引っかかっている彦六に六蔵は、 「そりゃあるよ。思っても突撃するんだよ。 死にたくねえ〜うわあ〜って頭ん中で叫んでな。 そのあとぁそれぞれだ」 軽く笑ったが、六蔵以外に笑顔はなかった。 と、馬の走る蹄の音が遠方から聞こえてきた。 やがて坂下から、男の乗る馬の姿が視界に入り、 目の前に走り来て騒々しく馬を止めて、 「石峰六蔵様御一行とお見受け致す」 と大きく声をかけて来た。 起き上がった六蔵も声を張って、 「いかにも、六蔵にござる」 男は馬から降りると一礼し、 「修理様より、至急帰城されるようにとのこと」 「おう、承知した」 「では」 男は再び馬にまたがると、せわしく来た道を戻り 走り去って行った。 「・・・・至急ったってなあ」 すぐ城にたどり着く距離でもなく、 既に急げる体力はない。 「こっちの都合は城も知ってるはずだからな。 まあ、ゆっくり帰ろう」 と、六蔵はあくびをして再び横になった。 六蔵達の帰城は、昼をしばらく過ぎていた。 軍装を解いた六蔵が修理のいる部屋に行くと、 修理は書状から顔を上げて、 「六蔵、また出番だぞ」 「え?」 「内膳殿からの要請だ」 梶谷内膳こと宗善が、須木江屋久連合軍との戦で 須田方の援軍として出陣の際に、六蔵にも同行を 頼みたいという。 「・・・・評定の件、(須田)城方に認識足りず、 実戦にて知らしめるべしとの意を強くし、 我が部隊に加勢願いたく云々・・・・だそうだ」 「それがしも戦に・・・・」 「東部はあくまでも三城が受け持っておるでな。 石峰は動けぬ。六蔵とその手下だけということに なるが、さすがに前線での一兵ではなく助言役だな。 激戦でもなければ見物で済むだろう・・・・それにしても、 内膳殿はなかなか快活に育ったようだな。 さすが左兵衛様の御嫡男だ」 修理は笑みを浮かべている。 「・・・・それで、それがしの出立はいつ頃で よろしいのでしょうか」 「これより」 「え」 「今出立すれば夕刻には本城に着こう。 呼ばれたからには急いだ方がよかろう」 「・・・・あ〜しかし、朝から先程まで近郊の山道を行軍 しておりまして、家来もかなり疲労困憊の様子で・・・・」 「うむ、本城までの街道であればだいぶ楽であろう。 戦は数日後になるそうだ。早めに本城へ向かって 挨拶を終えて、今夜はゆっくり休むがよい」 「・・・・というわけだよ」 玄関で待機していた五郎左達は、 六蔵の知らせに表情が曇った。 特に吉松はいかにも迷惑そうな顔で、 「戦が数日後なら何も今急ぐことねえじゃねえですか。 俺らクタクタですよぉ」 「修理様御自身が猛者だったらしいからな。 屁でもねえんだろなぁ」 「・・・・でもまあ、行くときは身軽ですよね。胴丸は 本城が貸してくれるだろうし。じゃあ楽だろ。な?」 五郎左が慰めるように吉松達に声をかけ、 「そういやぁ、つらいときに更に無理を加えると 鍛えられるらしいよ」 と彦三が一言を加えると吉松は声を荒げて、 「何言ってんすか、ものには限度ってのがあって・・・・」 と言いかけるが、 「ん・・・・要するに頭は内膳様の助言役で、 俺らは護衛役ってことですよね・・・・じゃあ今回は 俺らは要らねぇんじゃねえかなあ」 「ダメだ。おめえも来いよ。御役目だ。だよな?」 五郎左と彦三は、 「御意」 「承知」 と淡々としているが、吉松は苦笑して、 「いやぁ、本城行くのに大げさじゃねえですか。 べつに俺らが行かなくても・・・・」 「戦に行くんだぞ。どうなるかわかんねえ。 そのときいなけりゃ何のための家来だ」 「・・・・いざとなれば死も覚悟、 君臣一体とはこのこった」 彦三のつぶやきに吉松が、 「へ、調子いいこと言っちゃって・・・・ おめえらどうなんだよ」 彦六と勘八に問うと、 「・・・・俺は行くよ」 「俺も・・・・」 「彦六は死ぬのがいやなんじゃねえのかよ」 「だって家来になっていやとは言えねえし・・・・」 六蔵は吉松を睨みつけるように、 「どうなんだよ吉松、行くのか行かねえのか決めろ」 「・・・・・・・・へぃ、行きますよ。御役目、仰せつかります」 「よし、決まった、さっそく行くんべぇ」 「ちょっと待った」 街道を歩く五郎左達に、やや離れて後ろを歩いていた 六蔵は、立ち止まって大きく息をついて、 「意地悪してんじゃねえだろうな、おまえら。 こっちは十も二十も年離れてんだで、気ぃ遣えよ」 「なんすか、急いでるって言ってたじゃねえすか」 吉松がぶっきらぼうに答えると、 「歩くのまで急がなくていいだろ。 おめえこそ嫌がってたろうが」 と、だるそうに道端の草むらへ座り込んだ。 「いや、胴丸着けてねえせいか、思ったより楽なんで ・・・・頭ぁ健脚じゃなかったんすか」 吉松達は六蔵の元に戻った。 「健脚も怠けりゃ弱るんだよ。おめえらだけ 行ったって門番通してくんねえぞぉ」 「事情話せば大丈夫ですよ」 「こっちは神仏でももののけでもねえんだで、 呼べばパッと現れるわけでもねえんだから、 あわてるなぃ」 六蔵はため息をついて横になった。 五郎左達は顔を見合わせ、苦笑して六蔵の 近くに座った。 日暮れにはまだ間がある頃、六蔵一行は本城こと 神保城に到着した。 五郎左達は三の丸の足軽番所に待機し、六蔵は 城兵の案内で、同じ三の丸にある宗善のいる 屋敷を訪ねた。 「石峰六蔵、参りました」 「おお、かたじけない」 平伏する六蔵を前に、宗善もまた笑顔で 手を着いて頭を下げた。 「いやぁ、まさか書状を送った当日に来て頂けるとは 思いませなんだ。実にありがたい。じっくり話が できます」 「修理様に急かされまして・・・・」 「・・・・ああ、我が親父の盟友ですな。修理殿は西の 国人衆として、神保方と橋渡しをされた恩人と 親父から聞いてござる。よしなに伝えてくだされ」 「・・・・で、詳細は決まりましたか」 「先日、須田の評定で、久々に須木江攻めが決まった。 旧森柳領の奪還にござる。森柳といえば六蔵殿の活躍。 当然、貴殿を呼ばぬ手はござらぬ」 「・・・・」 「兵力はいつもの通りで、茅部須田豊地と、 実兵は一千二百程。我が本城援軍は四百、 合わせて一千六百」 「・・・・本城の援軍は増やせませんか」 「三城に任せた以上、本城が出張るわけにはいかぬ として、親父に数を抑えられてしまいましてな」 本城が仕切れば実兵も二〜三千は出せるが、 遠慮した結果という。 (勝つより配慮か・・・・) 味方同士のしがらみや配慮は当然と分かっている つもりだが、ときにはじれったさを感じる。 「周辺勢力へも兵を出すよう頼んでおいたが 当てに出来ぬ。まあ、邪魔さえしてくれなければ 上々というところで、須木江はまた屋久と来るで あろうし、おそらく互角にはなる。有利とは 言い難いゆえ、六蔵殿の意見・・・・出来れば采配も 期待したい」 「それがしが指揮を?」 「我が援軍限定ではあるが、全面お任せいたす。 六蔵殿の指揮をこの目でしかと見届け、大いに学びたい」 「そんな大層な・・・・・・・・」 六蔵は須田家臣当時を思い出した。 任されるのは名誉だが、その分責任も負うことになり、 喜んでばかりもいられない。状況は五分五分らしく、 どう転ぶか判らない。 困惑する六蔵を察するように宗善は、 「六蔵殿の経緯は承知してござる。今回は以前のような 苦労はないよう配慮致す。あくまでも責任はそれがしに ある。心配御無用」 と自信を示した。 「手勢四百の援軍では、やれることは限られますが・・・・」 「無論、こちらからも三城に献策致す。意に反した策に 従って負けるわけにはまいらぬ・・・・そこでまた 六蔵殿のお知恵拝借という次第」 「・・・・知恵はございません。以前以上に分が悪く、 あの幸運は二度もあり得ず」 古今東西、歴史に名を残す名将たちは、 機転と度胸で運をも呼び込んで、奇跡的勝利を 収めたらしいが、一方であっけない敗北を喫し、 短い一生を終えた将兵も多かったであろうことは 想像に難くない。 宗善の期待は買い被りであり迷惑だと言わんばかりに、 六蔵は拒絶するような物言いになり、 「・・・・内膳様の御家来衆も、それがしよりも格上。 それがしが采配役となれば、必ず遺恨が残ります。 これは内膳様であれ誰であれ、説得しても 御家来衆には一生の恥辱として残り、 内膳様もまた恨まれることになります」 「そんな大袈裟なことでは・・・・」 「招かれたことは名誉であり参陣致しますが、 なにとぞ裏方として目立たぬよう差配して 頂けますように」 六蔵は無表情に平伏した。 宗善も六蔵の頑なな辞退 に困惑したが、なおも、 「・・・・とはいえ、将兵は皆若く、六蔵殿の子息でも おかしくない年の者も多い。貴殿とは年季も 実績も違う。逆らう者あれば、それこそ分不相応と いえよう。何よりそれがしに逆らうも同然、 神保方に楯突くも同然、ということになる。 そこまで無礼者は我が将兵にはいないと・・・・」 「なれども、いきなりよそ者が来ては抵抗も 大きかろうと存じます。やはり皆、気概と情が ありますゆえ、出来るだけ穏便に事を運びたく・・・・」 (・・・・よほど上下で苦労があったのか・・・・) そこまで恐れるものなのかと宗善は訝ったが、 小勢とはいえ、六蔵に任せれば、三城から責任放棄と 非難され、宗善への悪評も広まることは予想できる。 また、もし敗退すれば、宗善は任命責任もあり、 やはり宗善の評価は下がり、石峰城にも迷惑をかける ことになる。父親の左兵衛も黙ってはいないだろう。 (やはり頼るわけにはいかないかなぁ・・・・) しばらく考えた宗善はうなずいて、 「・・・・慎重ですな・・・・うむ、承知致した。では、 我が本陣にて諸々御指南願いたい。それで 宜しいですかな」 「御配慮、痛み入ります・・・・して、森柳の旧臣達は どうなっておりますでしょうか」 「彼らには書状を送ったが、我が方に攻められた 恨みも残っておると思う。なれど、我らの拡大方針は 彼らも承知。このまま逆らい続けて旧領を戦さ場と すれば、つらくなるばかり。彼らには先を考えて 妥協するよう勧めたが、どうなるかはまだ・・・・」 宗善は書状を撒くように旧臣達へ働きかけたが、 明確な返答はないという。 「で、大まかな予定としては・・・・」 宗善は手書きの略図を広げて、 「三城それぞれが夜明け前に須木江との国境で 合流して、我らもまた三城と連携しつつ、 弱小であろう旧森柳の城を奪い、前後して須木江と 屋久が来た時は、一転、川を境にして迎え撃つ、 という手筈にござる」 旧森柳と須木江は南北を通る川を国境としていた。 川幅は約五間(けん・約10m)、深い所は腰から 胸辺りに達し、春先から夏にかけては水量も増し、 泳ぐには危険な場所も多い。 「須木江が川を越えて来るとすれば、それらを把握 した上でありましょう。我らも同じく想定して おかねばなりません」 「須木江が川を越えるのはこれまでもあって、 その動きから、深さもほぼ把握してござる。 我らが対岸で迎え撃つ側であるゆえ臨機応変、 敵に合わせればよい、というわけでござる」 「では・・・・」 と、六蔵はせっかくだからと考えを話した。 「須木江と屋久への他勢力の出兵など牽制要請の他、 豊地方で別方面にて屋久を牽制し、本城全軍と 茅部須田方が森柳旧領に進軍して、旧本城攻めをする と思わせて、やって来た須木江を川を使って迎え撃ち、 その後に追撃ないしは城攻めがよろしかろうと存じます」 「・・・・本城全軍?」 「内膳様の援軍だけではなく、本城全軍です」 「・・・・本城は動けぬ」 「なにゆえ」 「既に申した通り、三城に任せたからには 本城は我ら援軍のみで、干渉せずが前提」 「古竹攻めは本城が主体となって、諸城からも兵を 集めて、短期決戦で済みました。今回も戦力を 集中して敵を削ぐのが確実と存じます」 宗善は苦い顔で、 「・・・・あれは本丸様の初陣も兼ねてのことで、 今回についても、兵が足らぬことは親父にも 伝えたが、『足らぬ足らぬは工夫が足らぬ』 と聞く耳持たず・・・・」 「三城任せではなく、それぞれ分担して本城含めて 戦力を傾注すれば、東部戦線は早期解決が可能では ないかと・・・・」 「うむ、そのはずなんだが・・・・」 東部三城は、本城の左兵衛が後見役となった 先代嫡男の本丸(惟定)ではなく、先代当主の弟、 式部大輔惟実(しきぶたいふ これざね)を 次期当主として支持した経緯があり、左兵衛が 警戒していることが大きいのではないかと宗善は 推測していたが、そこまでは口に出さなかった。 (だとすれば、親父も執念深い御仁だ・・・・) 「・・・・敢えて内膳様につらく当たって 試されてるのでしょうか」 宗善はため息をついて、 「親父の真意はつかみかねる。ま、いつもの ことでござる。そんなわけであるから、六蔵殿には 此度の戦について、あれこれと御教示頂きたい」 「足らぬを補え、と・・・・」 「いかにも。頼み申す」 宗善は苦笑して頭を下げた。 宗善と六蔵は話し込んで深夜に及んだ。
by huttonde
| 2019-07-13 02:30
| 漫画ねた
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