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戦国物語 八十七
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足軽六蔵奮闘記 八十七

親子相剋

 坂東府によって戸成の管領職が承認されるかどうか、といった
状況下で、戸成と山内の動きを知った神保、内膳宗善は、反対の
立場を明確にすべく坂東府へ異議申し立ての書状を送った上で、
坂東府への内政支援として運び込んでいた材木や土嚢などを
一転、自領へ持ち帰るよう命じた。
 この大規模な運搬作業の雑兵人夫達に、六蔵や五郎左達も
加わっており、土嚢や材木の荷車を引く牛馬に混じって、
自身らもまた土嚢を背負いつつ荷車を押していた。
 古竹領、土居領と神保の拡大に伴って、神保領から坂東府へ
続く道が整備されて行ったが、やはり人員と費用には限りが
あり、秋の雨続きではぬかるみになる所もあった。
 それも過ぎて冬に近づきつつある今は、晴れて乾燥した天気が
続き、風は清々しさを感じるが、やはり昼の日差しは作業中の
身には余計なもので、時々の休憩で動きを止めると、たちまち
全身から汗が吹き出した。
 とはいえ、戦前の行軍と違って幾分気楽さもあり、広がる
平野の変わり映えのない景色を眺めつつ、遠く続く一本道を
淡々と進むのみである。
「頭(かしら)、大黒城近辺から坂東府まで何里あるんですか。
結構な距離ですよね」
「どうだかなぁ、往復で一日潰れちまうでな。
どえれぇ負担だわな」
 と、五郎左の問いに六蔵が答えた。
「まったく、偉いさんには振り回されるよなぁ。持ってけつう
からはるばる運んだら、今度は持ち帰れってさ、おめえも
手伝えよっつーの。俺らいなけりゃ戦もできねえくせに」
 そう吉松がぼやくと、
「そーいうことを聞きやすく言うんじゃねえよ、
これも仕事のうちだろうが」
 彦三が注意した。
 同じく土嚢を背負い、荷車を押しながら六蔵は笑って、
「足軽雑兵、ただ従うのみ。楽でもあり面倒でもあり、だな。
それよりおまえら、ちゃんと飯食ったか? 多めに食っとかねえと
途中で苦しくなるぞ」
 この運搬作業では炊き出しもあって、出発前や途中での
食事は、大きめの玄米の握り飯と味噌が提供されている。
「そりゃ疲れるのはしょうがねえでしょ、
こんなことやってんだから」
 吉松は投げやりに返すと六蔵は、
「そうじゃねえよ。歩くのも苦しくなるんだよ」
「やっぱ玄米ですねぇ。ありゃぁ力付く。腹持ちいいし」
 と五郎左が答え、
「まあ、稗や粟じゃどうにもしょうがねえやね。
麦もいいが黒米か米が一番だ」
 と彦三は笑った。
「戦無しで米が食えるのはありがてぇな。
内膳様の御配慮らしい」
 築城や大規模な土木工事ともなると、炊き出しで米が
食えるのは一般的で、この遠距離運搬についても同様に米が
支給され腹一杯食えることができたが、地域や大名家によっては
その保証はなく、年貢減額や免除などの条件で、もっぱら食糧は
持ち出しの献身を求められる場合もあった。

 作業中は私語禁止とはいえ、それで黙るほど愚直でもない。
「俺らいなけりゃ戦もできねえくせに」
 という吉松の反骨は六蔵も五郎左達も同様で、それ故に、
そりゃそうだと聞き流していた。
 六蔵らは単調な作業の気晴らしとばかりに、遠慮気味ながら
世間話が続き、やがて神保とそれを取り巻く情勢についての
話に変わった。
「神保としては戸成と川澄が邪魔らしいが、向こうからすれば
神保が邪魔だろうし、さて、どちらが仕掛けるかな。
頭(かしら)はなんか聞いてねえですか」
 五郎左の問いに六蔵はだらけた調子で、
「あぁ、いつものようになんも聞いてねえだで。
下っ端には知る由もねぇわな」
 戦は生き死にに関わる重大事だが、大名や大将格の計画や
展望などを足軽雑兵が逐一知るわけもなく、場当たり的な
命令に従うのみである。
 先行き不透明な長期戦や遠征などは、一段と兵の忍耐が
必要となり、士気に影響する。
「足軽雑兵、ただ従うのみ。楽でもあり面倒でもあり」
 という六蔵の言葉は、状況によっては肉体的精神的苦痛を
強いられ、無論、命に関わることも示したものである。
「ん〜・・・・・・わかんねえってのがほんと嫌だ」
 吉松がいかにも嫌そうな顔でぼやいた。
「あっち行けこっち行け、文句言うな黙れ従え逆らうな、
突っ込め突撃でごり押しで、ようやく退却のときには自分は
討死とか、冗談じゃねえや」
「おお、吉松がついに戦を嫌がりだしたぞ〜」
 彦三がからかうように言ったが、
「下手な戦は嫌だっつーの。それで殺されるなんて
とんでもねえよ」
「そうは言っても敵が現れたら、気が進まねえなんて
言ってらんねえぞ」
「土壇場になったら説明もクソもねえわな。
命令一下で突撃は普通だからな」
 五郎左も彦三も吉松を諭した。
「あるいはいっそ、この世からおさらばするとか」
 と彦六は笑い、勘八は笑顔を示した。
「うるせぇよ・・・・・・おめぇらいつものんきだな」
「だって、ずっと続くわけじゃないんだろ? 危ねえ戦より
こっちの方がまだマシだろよ。おまえと違って考えてんだよ」
「おめえが考えたことあんのかよ。いつもボーっとしやがって」
 吉松が彦六の背負う土嚢を蹴った。
「あ、このやろ・・・・・・」
 彦六もすかさず蹴り返した。
「お、この・・・・・・」
 吉松が拳を構えると、
 六蔵が二人に珍しく怒鳴った。
「おい、手ぇ出すな。足も出すな。馬鹿正直に口に出す
おめらは、相手によっては手や足どころか、斬られるぞ。
出世してぇなら抑えることを覚えろ」
「・・・・・・」
「おめぇらが大将になって敵が挑発してきたら、その度に
突撃すんのか? てめぇが死ぬのは勝手だが、多くの味方まで
巻き込むなよ」
 吉松が反発し、それを五郎左と彦三が諭し、あるいは
からかい、彦六と勘八は吉松に同意せずにのほほんとした
調子で、吉松は不満のままというこのやり取りはいつもの
ことで、六蔵は特に同調もせず笑みをもって黙っていたが、
手足が出れば放っておけない。
 吉松と彦六は黙ったまま、六蔵は彦三に対しても、
「彦三も、もうちょい抑えろよ。意地悪さが出てるぞ」
「は、すみません・・・・・・」
「彦三が賢いのはわかってるよ。だが、ときにはそれで
人を刺す。俺なんか思っても言わねえぞ。やたら思うけどな。
はは」
 六蔵はにやついた。
 吉松は口を曲げてしばらく荷車を押したが、
「あ〜あ、大名になりてえなあ〜」
 と大きく嘆いた。
「おいおい、危なっかしいな、黙ってろよ」
 五郎左が辺りを見回した。
「・・・・・・」
 六蔵達は会話も途切れて、黙々と荷車を押した。



 途中、飯と休憩を兼ねて石峰方は沿道の村に寄った。
 これは事前に知らせてあるので、石峰方によって米の配給や
飯の手配は準備されている。
 六蔵は五郎左達と握り飯を食い終わると、石峰方の普請奉行
となっている三橋二郎繁春に尋ねた。
「親方、二樹は神保家とはどうなんですか」
 二郎は大口で握り飯を頬張りながら、
「どうって、和睦して以降は特に動きはねえしなぁ。とりあえず
神保側が組もうとしてるらしいが、詳しくは俺も知らねぇ」
 六蔵としても、神保がどのような状況にあるか、近隣の情勢は
気になることで、五郎左達に聞かれて答えられないのは立場上
まずいという思いと、やはり知らされないことに不満があった。
「じゃあ、北の昭畑とか西の二白は」
「同じじゃねえかな。神保が敵と見てるのは戸成と川澄、
乙元だろ。まぁ、乙元には態度変えるらしいが、向こう次第
だろうしな」
 やはり二郎も詳しくないらしい。日頃目をかけてくれる
家老格の城山修理といえども、六蔵が気安く訪ねて物を聞くには
憚られる。
「でも、敢えて聞くのは家来としても大事だし、
それに応えるのが上司ってもんでしょう」
 吉松はいつも通り遠慮がない。
「それは相手によりけりだろうさ」
 と六蔵は返すが、
(何にしても下っ端の弱さだよなぁ・・・・・・)
 大名や大将、武将ほどではなくとも、将来ある若者を複数家来
に持つ立場となれば、その責任は足軽雑兵の比ではない。
 五郎左達が家来と決まって後に彼らの村に赴き、それぞれの
親に挨拶して以降、六蔵も何回か村の手伝いに加わった。
 穀潰しだの何だのと次男三男は邪魔扱いと聞くが、その実、
彼らがいればこそ長男は家業に専念でき、村の夫役に貢献し、
助けになっているのも事実である。
 彼らからすれば、
「親も村も無事なのは俺らのおかげだ」
 という自負もあるだろう。
(親も心配して・・・・・・いや、まぁ、人によるかな)
 六蔵自身もしばらく親元の山村で過ごし、耐えきれずに
村を出た一人である。
(四十年くらいか・・・・・・もう会うこともないし、楽だわな)
 広がる秋空を見上げて、六蔵は少し気分を落ち着かせた。

「今日は親父殿が見えなかったが、鷹狩りかな」
 祐筆の岡野小吉郎と共に、執務室で書状作成に勤しんでいた
宗善は、一息ついて伸びをしながら、やって来た近習頭の
山中正次郎に問うた。
「はい、左兵衛様は早朝から供と連れ立って、
郊外へ出掛けておられます」
「・・・・・・元気なのはいいが、余計なことをしなければなぁ
・・・・・・」
「余計なこと・・・・・・?」
「いやぁ、俺に任せるなら任せると割り切ればいいものを
・・・・・・俺ももうじき三十だからな。いくらなんでも未だ
子供扱いもあるまいよ」
 左兵衛には宗善が生まれる前に二人の男子がいたが、
一人は二十代で戦死、その後幼い弟も病死した。これについて
宗善は母から聞いていた。
 左兵衛は内心では予想外の宗善の誕生に喜び、将来を期待
していると宗善は察しているが、物心ついた頃には左兵衛に
笑顔はなく、愛情を示す素振りを見せてはいない。
 その上、梶谷家の断絶も構わないとも取れる放言は、
宗善に対する侮辱にも思えて、不信が拭えないでいた。
 その一方で、先の男子二人を失ったことで喪失感、絶望感に
襲われた苦しさや悲しみから、もはや期待しないことで精神の
安定を図ろうとしているかもしれず、父親を非情の者と
決めつけて責める気にはなれなかった。
「隠居なら隠居でいいのに、中途半端でなぁ」
「内膳様、畏れながら・・・・・・」
 正次郎はそろりと口を開いた。
「左兵衛様に内膳様を蔑ろにするような言説多く、しかも
御家断絶も構わないとする御意見については我らも伺って
おりますが、思うに、おそらく、神保家に対する忠義を家中に
よく知らしめるためではないかと・・・・・・」
 左兵衛は神保家の家臣であり、現当主は先代武蔵守惟道の
嫡男本丸(惟定)である。
 先代亡き後、弟の神保式部が野心をもって当主になろうと
したのを左兵衛一派が追放処分にするなど、謀反と取られかね
ない騒動があったものの、惟道正室の許可を得て、後見人と
して幼い本丸と神保家を支えて行く決意を家中に示し、執政を
行うことになった。その後数年経て継ぐのが嫡男の内膳宗善
である。
「左兵衛様が嫡男たる内膳様をあからさまに可愛がり、世継ぎ
を期待する言動は、家中に御家乗っ取りの疑念を広めかねず、
神保家分断を避けたいとする考えがあったからではないか
・・・・・・と推察致しますが・・・・・・」
 正次郎の意見に宗善は苦笑して、
「・・・・・・正次郎、皆まで言うなよ」
「は・・・・・・」
 正次郎は惑った風の表情になった。
「親父が立場を弁えて、俺につらく当たるのは仕方ないと
思ってるさ。後見人が家臣の梶谷親子にあることは既に確定
している。そこへ更に分けるような権力の二重は齟齬を生じる。
家中も惑わされる」
 政務については左兵衛が宗善に任せたことになっているが、
側近と今なお活動していることは家中も承知である。
「隠居が嫌なら分担すればいい。俺も一家臣として従う。だが、
任せると言いつつ任せず、俺とは無関係にあれこれ指示を
出されては、家中が迷惑だ」
 宗善は幾分怒気を含んだ調子で、正次郎も小吉郎も黙って
聴いている。
「心配性かしらんが、俺への不信とも取れる。家中も俺への
不信に傾く。朝廷から将軍家、探題や管領職や公方という
構造に異議ある親父殿が、自ら家中を分断するが如き考えだ。
同じ問題を作っていては信用を失う」
 と、宗善は、父左兵衛に対しても遠慮は禁物という思いを
強くしていた。
(親父殿とは、改めて公に約束を交わさねばならんかもな
・・・・・・)

「ところで、先日から続く坂東府からの資材運搬について、
現場から不満の声があるようですが・・・・・・」
 正次郎が伝えると宗善は軽く頷いて、
「うん・・・・・・運べと命じて、その後は持ち帰れと命じた。
現場からすれば煩しかろうな・・・・・・状況が変わればやることも
変わる。まぁ、運ぶのはあくまでも一部だ。数日かけて
その様子を坂東府に見せつける。それにどう出るか見物だ」
 戸成が自身の坂東管領就任を坂東府へ要請したことを知った
宗善は、公方実氏へ反対意見を伝えて、優遇策であった坂東府
への内政支援作業を一時中断として、坂東府領内へ運び込まれた
木材や土嚢の多くを持ち帰るよう命じた。
 このあからさまな行動に実氏は困惑したが、優柔不断な
実氏は戸成に了承の返答もできず、さりとて神保の抗議にも
明確に答えられずに幾日も過ぎている。
「坂東府といえば、あの地も元は閑散とした漁師村だったとか。
戸成からすればやっても惜しくない地域ということで・・・・・・」
 と、小吉郎が説明を加えると正次郎が続けて、
「あるいは、後の発展を見込んで献上したともいえるな。
戸成としてはその言い分だろう・・・・・・やはり、坂東府は戸成の
操り状態といったところか・・・・・・」
「戸成と通ずる山内に好き勝手されてはかなわんな。葉留殿
・・・・・・いや、何よりも公方様がしっかりしておればなぁ・・・・・・」
 と宗善はぼやき、
「親父殿は戸成を潰したいらしい。たしかに戸成と川澄は
邪魔だ。戸成が潰れれば次は川澄を・・・・・・ってとこだろう」
「つまりは我ら神保が公方様を一手に引き受ける、と」
 正次郎が尋ねると、
「だが、公方も不要というのが親父殿だ。上に天子様あり、
その下に将軍あり、その下に公方までとは、今や有害無益だと」
「・・・・・・そうなると、国の仕組み自体を変える必要が出て
まいりましょう。要は、将軍様を頂点に、武家がどのように
役目を担うのか・・・・・・」
 以前は朝廷の権威の下、公家が権勢を敷き、その後はそれを
改めるべく武家政治に変わったが、朝廷や将軍はともかく、
それ以外の上部組織が各地で専横、あるいは機能しないと
なれば、国どころか地方の秩序も保てないのは現状が示す
通りである。
「今後愚か者が権力を握らんとも限らぬ。その度に戦乱と
なっては民の迷惑、我らも迷惑だ」

「やはり外は気が晴れるな。この時分は特にいい」
 歳を重ねても鷹狩りの習慣は変わらない左兵衛だが、やはり
足腰や体力の衰えか、鷹狩りというよりは本城郊外への散策に
近くなり、多分に気晴らしを兼ねている。
 左兵衛は涼しさを感じる晴天下、遠く開けた蚊の心配のない
野原で、曲録(きょくろく)に腰を下ろして、竹筒の水筒で
喉を潤すと一息ついた。
 付き添いの一人には横波正右衛門政治もいて、諸侯の近況に
ついて、知り得る限りの情報を左兵衛に伝えた。
「(坂東府家臣の)山内の真意は測りかねますが、その正室の
実家は戸成当主の弟だそうで、戸成との関係を強化する立場に
あり、府内では公方様第一の忠臣ともっぱらの噂で・・・・・・」
「公方を支えるつもりで操っておるようにも見えるな。
甚だ怪しい。我らにとって目障りだ」
「一方で葉留殿が内膳殿と通じ、坂東府内について情報を
受けておるようです」
「山内も葉留も分担しておるのか対立なのかわからんな・・・・・・
で、内膳は乙元へ関係を強めようとしておるな」
「はい、坂東府同様、内政支援を約束しておりましたが、
坂東府を優先のはずが、戸成の管領就任要請の件で中断し、
更に先の乙元への運搬に支障をきたすことになり・・・・・・」
「乙元も支援欲しさに大人しくしてくれればいいが・・・・・・」
「神保と争わぬとなれば、これまで通り東部諸侯への
攻勢を強めるかと思われます」
「これ以上乙元が大きくなれば、これもまた面倒だ。
東部から何か来ておるか」
「今のところは・・・・・・とはいえ、攻勢が進めば、我らへの
救援要請も為されるでありましょう」
「内膳はどこまで読んでおるかな・・・・・・山内は乙元も引き込んで
神保に当てるだろう・・・・・・そういえば、いつぞやの商人は
どうしておる」

 ───いつぞやの商人とは。
 本城城下の商人達について、家法通り城に一定料を払えば
商いは自由とするが、新規商人を排除、また、違法である
上納金を強要して、私服を肥やしている疑いありとの小吉郎
からの報告を受けた宗善は、事実であれば問題であると、
家法の領内周知徹底だけでなく左兵衛に報告した。
 ところが左兵衛は報告は受けているとしながらも、
曖昧な態度に終始し、苛立つ宗善と口論になった。
 結果、嫌疑を受けた商人六人が城に呼ばれて弁明の場が
設けられたが、商人らは流言飛語、讒言であると否定し、
一人は神保家旧本拠地の四俣城以来の顔馴染みと強調して
左兵衛に懇願した。しかし左兵衛は記憶が曖昧として
煮え切らぬ態度だった。
 宗善はこの件で、商人の問題は以前から続いていたのであろう
と察し、左兵衛が知りながら黙認、放置したのか気になった。
 横波正右衛門の嫡男、太郎左衛門の説明によると、呼ばれた
商人六人のうち二人が、家族番頭と坂東府へ夜逃げするのを
目撃され、三人目は戸成方面へ向かったためそれぞれ捕らえた。
 執拗な追及の結果、一人は坂東府重臣山内氏朝の間者と
判明し、説得して協力を要請したが拒否、やむを得ず家族
もろとも始末、もう一人も坂東府、もう一人は戸成の手の者
だったという。
 また、残る三人についても、当日の深夜に逃げ出すところを、
国境で待ち伏せして捕らえた。
 これらの措置は左兵衛の意向もあり、五人の違法について
不問、これまで通りの〝商売は〟認めて、脅しなだめすかして
坂東府や戸成から、神保側への情報提供や協力転向を要請、
約束を取り付けた。

「は、その後はおとなしく坂東府や戸成側の情報を提供する
ようになっており、こちらの調べと比べても、特に偽っては
おらぬようです」
「しばらくは大丈夫というところかの。商売に専念すれば
損は無かろうに、何かあれば店を焼くか身を焼くか両方か、
事前に知ったのは奴らにも不幸中の幸いだろう」

 左兵衛と横波正右衛門が話し込んでいるところに、
宗善と正次郎がそれぞれ馬でやってきた。
「おう、なんじゃ、珍しい」
 宗善と正次郎が馬から降りて、面前で膝を着き一礼すると、
「父上、鷹狩りと聞いておりましたが、
ずいぶん遠くまで来られましたな」
「郊外に変わりはない。何の用じゃ」
「たまには会話を交わさねばならぬ御方と心得ております故」
「・・・・・・ふん、で、言い分は何じゃ」
「父上は隠居せずと申されましたが、政務の権限について
私に任せるとも申されました」
「そうだ。不満か」
「任せるとは譲ると同義と解釈しておりますが、伝え聞く
ところ、私に断りなく政務に口を出し、指示まで出しておる
とのこと。これは越権であり、家中を惑わすことになります。
今後はお控えくださりませ」
「人聞きが悪いな。隠居ではない故、口を出すこともある。
立場上、知らぬ存ぜぬとはいかんしな」
「なりません。父上はもはや指示する御立場にありません。
どうしてもという時は私にお声掛けくださりませ。倅として、
聞く耳は持ちます故」
「・・・・・・」
 立場が逆転したような状況を、左兵衛が機嫌よく納得
するわけはないが、今まで通りにはできない。
 宗善は丁寧な口調ながら遠慮なく伝え、更には、
「これまで報告や相談は私が父上にしておりましたが、
逆に父上がなされても問題ありません。むしろ積極的で
あった方が誤解なく、家中も惑うこともなくなりましょう」
「わしに若返りしろと?」
「いえ、老いては子に従えという古よりの教えも
ございます故・・・・・・」
「小賢しいことを・・・・・・」
 左兵衛の顔は歪みっ放しである。
「父上、以前から気になっていたことがありまして・・・・・・」
「なんじゃぃ」
「当家は戸成や川澄と組んでいた時期もありながら、
敢えて敵対するに及んだ理由とは」
「理由? 捨て駒は迷惑だからな。潰されてたまるか」
「戸成や川澄に付くことは公方に付くも同じ。大義は当然、
守るにも常道のはず」
「公方に義理立てすると我らばかりが損をする。戸成も川澄も
我らを田舎侍として捨て駒だ。付き合いきれん」
「敵の方がましと」
「権威権力に溺れる奴はそそっかしい奴だ。そんな奴に
媚び売っても正当な評価は得られぬ。徒労で終いじゃ。当時の
ままであれば、今頃は城一つで周りと争っていたであろうよ」
「なるほど。それから・・・・・・昭畑と二白に対して同盟を打診
しておりますが、やんわりと断られております。おそらく、
坂東府や戸成も同様に働きかけているものと推察されます」
「だろうな」
「そうなると、南だけでなく北も西も防備を固める必要が
ございます」
「今更気づいたのか」
「いえ、展開によって注力の加減が変わります故」
「準備あればひと月くらい持つだろう。その間に各個撃破だ」
「・・・・・・父上は常に強気ですね」
「経験がものを言う。恐れ過ぎず、油断せず、だ」
「では話戻して、今後について私に権限を譲るということで
よろしゅうございますね」
「ああ、好きにせぇ」
「では、今後は報告も相談も無しでよろしいでしょうか」
「・・・・・・そんなに邪魔か」
 左兵衛はギロリと宗善を睨みつけた。
「父上は責任感が強いせいか、一手に背負って断行する傾向に
あり、周りが振り回されますので、今後はお気持ちを穏やかに、
信頼して万事任せるよう願います」
「回りくどい言い草しおって・・・・・・」
「つきましては次回の評定で、父上には是非、本丸様及び
家臣一同の前で、万事任せることを改めて公言願います」
「む・・・・・・それは・・・・・・」
「神保家のために伏してお願いいたします」
 と、宗善は一段と声も強く平伏した。
「・・・・・・相分かった。他に用は」
「いえ、これで十分。では、よろしくお願いいたします」
 宗善は立ち上がると一礼し、正次郎と馬で駆け戻って行った。
「・・・・・・世代交代ですな」
 駆け行く二人を見て、正右衛門はつぶやいた。
 左兵衛は空を見上げて、
「まだ何も成し得ておらず、終わっておらず・・・・・・だが、いずれ
こうなるのは分かっておったよ・・・・・・それが今日明日とは
思っておらなんだが」
 と苦笑した。
「だが、生きてる内は口を出すぞ。そうでなければ生きてる
甲斐がないわぃ。そう思わんか」
 問われた正右衛門はニヤリとして、
「そう申し上げようと思っておりました」
 と、同じく空を見上げた。

「え、それがしにですか」
 帰城した宗善に呼ばれた横波太郎左衛門は、慌てた風を
隠さなかった。
 横波太郎左衛門定治。左兵衛の腹心、諜報担当の横波正右衛門
政治の嫡男である。宗善が左兵衛に代わって権限を持つように
なったのと同様、太郎もまた正右衛門の跡を継いで重責を
担うようになっているが、左兵衛と正右衛門の関わりが
切れたわけでもなく、今も関係は続き、情報収集には正右衛門の
協力がある。
「今に始まったことじゃないさ。俺にさえ内密が多くて迷惑
しておる。そこで、親父を見張っていて欲しい。と言っても
付きっきりも難しかろう。だから、貴殿の親父殿から得た情報を
こちらに伝えて欲しいんだよ」
「・・・・・・」
 太郎左衛門は困惑の顔のままだったが、宗善は構わず、
「俺に任せるとなれば方策や情報については胸襟を開くべき
なのに、いつも明かさずコソコソと企んでいるようでなぁ。
往生際が悪いというか、けじめがない」
 と、宗善は遠慮なく吐露して、
「貴殿も父親について同じことはないか。親子共に責任重大、
されど何から何まで親が教えてくれることはなく、不満や
苛立ちもありがち、と・・・・・・」
「え〜・・・・・・なきにしもあらずで・・・・・・」
 太郎も思い当たるのか、答えあぐねている様子である。
「俺の親父の性格からして、文句を言っても意固地に反発する
だけだろう。今日は文句も言って約束を取り付けたが・・・・・・
まぁ当てにならん。とりあえずは親父の動向は知っておきたい
ってことでな。親父に届く情報もそのまま俺も把握して
おきたいということだ」
 と、宗善は太郎左衛門にその立場を活かして、左兵衛と
正右衛門が手にした情報や意見などを極力提供してほしい、
と頼んだが、
「・・・・・・父はともかく、どうにも左兵衛様への裏切りに
思えて、気が重く・・・・・・」
 と、太郎左は板挟みと隠し事に困惑しているらしい。
「俺が頼んだことだ。責任は俺にある。これからのことも
ある故、いざとなれば親父とは刺し違えの覚悟だ」
 この宗善の要請、事実上の命令だが、太郎左衛門は、
父正右衛門と左兵衛について知り得る限りの情報を、
宗善に逐一伝える役目を担うことになった。

by huttonde | 2025-10-02 06:00 | 漫画ねた | Comments(0)
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