名作

元先生から久々に返された本の中に
「バカボン」の１巻目があった。
すっかり変色してる。
貸した覚えはないが貰っといた。
講談社コミックス（ＫＣ）『天才バカボン １』
昭和４９年３月５日　第９刷発行だと。

どえらい売れようだな。著者近影の赤塚先生が若い。
３０代か。
まだ崩れてない美青年時代。
末尾広告には『ハリスの旋風』『巨人の星』
『あしたのジョー』がある。
俺はバカボンについては、所期のノホホンとした生活喜劇風
よりも、もうちょい後のもっと飛んだ話がいい。
漫画家と編集者シリーズとか、神様のお告げシリーズ、
１番に挙げるなら、片腕だけしか見せない友人の話。



バカボンのパパが、これまで顔を見たことがない友人の家を
訪ねる。出迎えた友人は、なぜか襖を少し開けてひじから
先の手を出しているだけ。パパ、襖を開けるが誰もいない。
と、押入れの襖から友人が手だけ出す。
パパまた開けるがいない。一旦閉めるが、友人は同じ襖から
再び手を出し、驚き疑うパパをなだめる。
しばらくして、襖からは小さな手も。息子だという。
息子、パパにあいさつを済ませると、キャンディーを買いに
外に出て行く。
パパは姿を見ようと外に飛び出すが既に姿はない。が、
すぐにキャンディーを持った息子の手が、
「今帰ったよ」と友人の下に現れる。
その後、同じく手だけの奥さんもあいさつ、
パパと４人ですき焼き。
でも友人家族は襖の向こう、
手だけがパパの前の鍋をつつく。息子の手が、
「ママー、このおじさん、肉ばかり取ってるよ」
「見えるのか？」驚くパパ。
楽しそうな家族に対し、一人ぼっちのパパは寂しがる。
夜、友人家族が寝ている。パパは姿を見ようと家族の部屋に
入るが、布団には誰もいない。
なぜ、姿を見せないのか、
一大決心のパパ、家に火をつける。
燃え上がる家の窓から、
家族３人の手が出て助けを求めている。
「出てくれば助かるのだ、顔を見せるのだ！」
家は焼け落ち、家族はいない。
翌朝の新聞には、家の焼け跡から３本の腕の骨が
見つかったという記事。
パパ、無表情に「これでいいのだ」。
元祖天才バカボン「かわった友だち」


アニメ版は両手が出たり人影を出したりデタラメで、
なによりおどけがひどくてしらける。

後に古谷三敏が週刊少年チャンピオンに、毛深くてごつい
手首だけの主人公『手っちゃん』を連載したが、
これが元なのかな。いつのまにやら跡形も無くなったが、
発禁処分かね。ＰＴＡ辺りが文句たれたかな。

古谷アシ編
赤塚不二夫生誕75周年 Googleロゴがバカボンバージョン
http://alfalfalfa.com/archives/754056.html

http://delta-j.web.infoseek.co.jp/cgi-bin/mt/archives/2007/07/post_538.cgi
古谷三敏　手っちゃん　全5巻
昭和51年～52年？　秋田書店

と思ったら、電子書籍で読めるとな。
http://www.ebookjapan.jp/ebj/title/4122.html